著者
吉田 哲也
雑誌
情報処理学会論文誌数理モデル化と応用(TOM)] (ISSN:18827780)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.79-88, 2012-09-28

本稿では,複数のコミュニティへの所属を許容する重複コミュニティの発見を実現するために,ネットワークの重みを反映する重み付き線グラフを提案する.従来のノード分割に基づくコミュニティ発見手法ではノードは 1 つのコミュニティに割り当てられるため,複数のコミュニティには所属できないという課題がある.この課題に対し,本稿ではネットワークをその線グラフに変換し,変換後の線グラフにノード分割手法を適用することにより重複コミュニティ発見を実現する.従来の線グラフはネットワークの接続関係のみから定義されるが,ネットワークの重みを活用したリンク分割を実現するため,重みに基づいて拡張した重み付き線グラフを提案し,その性質を示す.さらに,ノード分割に基づくモジュラリティを拡張し,重複コミュニティ発見におけるソフトなノード分割に対するモジュラリティを提案する.提案法を人工ネットワークと実世界のネットワークに適用し,他手法との比較を通じてその有効性を示す.
著者
関口 智樹 大森 敏明 岡田 真人
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌数理モデル化と応用(TOM)] (ISSN:18827780)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.26-31, 2012-09-28

Slow Feature Analysis (SFA) は時系列データからゆっくりと変化する情報を抽出する数理モデルであり,神経システムのモデルなどに応用されている.近年, SFA の確率モデルが提案されているが,先行研究における SFA の確率モデルでは,データに加わる観測ノイズに関する近似を行っており,その影響についての定量的な議論が行われていなかった.本論文で我々は,パラメータ推定の精度や推定される slow feature のダイナミクスの振舞いを調べることで, SFA の確率モデルにおける観測ノイズの影響を明らかし,最もゆっくりと変化する成分が観測ノイズの影響を強く受けることを示す.The slow feature analysis (SFA) is a mathematical model that extracts slowly varying features from time series data. For example, the SFA has been applied for neural systems. Recently, a probabilistic version of SFA was proposed. This probabilistic SFA includes approximation on observation noise. However, quantitative evaluation on the effect of the observation noise in the probabilistic SFA has not been investigated in the previous study, and thus it remains unclear how the observation noise affects the performance in the probabilistic SFA. In this paper, we investigate the effect of observation noise in the probabilistic SFA by evaluating the accuracy of estimated parameters including slow feature dynamics. We show that the most slowly varying feature suffers from strong effect of the observation noise.