著者
三井 計夫 三井 豊穂 平野 孝雄
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地研究会誌 (ISSN:04475941)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.104-109, 1960-01-15

新規の草地造成において,先駆作物としてマメ科の野草類と一般の作物との比較で,跡作牧草生育への影響を試験した。(1)前作としての収量は,生育期間の長い場合,カワラケツメイ,ツルマメ,生育期間の短かい場合,青刈大豆,青刈ソバが多収であつた。(2)跡作牧草への影響は前作によつて減収をしめすものはなく,特にツルマメ,青刈大豆は,イネ科牧草の増収がいちじるしい。(3)マメ科野草類の跡作マメ科牧草,特にアカクローバーには負の影響がみられたが,ツルマメ,青刈大豆は影響が極めてわずかであつた。(4)青刈類前作の敷込区は刈取持出区よりも跡作牧草が増収する。しかし刈取持出区の前作青刈類収量と跡作牧草の収量合計よりは下廻った。
著者
肱元 茂善
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地研究会誌 (ISSN:04475941)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.23-29, 1958-12-25

i)暖地洪積層松林跡地に生じた笹原の草生改良をするために,1954年7月にクロレートソーダをまき(A区)或は刈取をした(B区)後,等高線縞状に粗耕起をなし,牧野草の3種宛を組合せて交互の畦に混播した。そして1955年から1957年まで採草と追肥とを毎年4回宛行つた。ii)追播草を条播するまでの整地労力はB区の方が約4割多く,かつ3カ年を通じての生草量はA区が2割優り,その差は施業当初程大であつた。年度別収量は1956年が最大で次は1957年であつた。また季節別収量は5月が最高で次は7月,10月の順で3月は最低であつた。なお収穫した生草1貫当生産費はA区で3.6円,B区で4.2円であつた。iii) A区における追播草種の生育に異状はなかつた。そして追播した6草種の中,生草量の多かつたものは,ラジノクロバー,レッドクロバー,オーチャードグラス及びイタリアンライグラスであつた。一方笹類の再生力は年と共に漸次大とはなつたが,その生草量はA区では全草量の0.4〜1.0%,B区では約3%程度に過ぎなかつた。iv)要するにクロレートソーダによる笹原の草生改良は明らかに有効だと思つた。