著者
吹抜 敬彦
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 38.10 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
pp.61-64, 2014-02-25 (Released:2017-09-21)

映画やTVでは毎秒数10枚のコマで動画を表現(コマ表現,sampled motion)する.「これが何故滑らかに動いて見えるか」について多くの人は「残像による」と答える.心理学者には仮現運動との答もある.筆者は,「動画像を時間領域で標本化したコマ表現から,視覚系からなる時空間濾波器で元の動画像を復調(取出)する視域運動(濾波器出力)である」と考えている.本稿では,この「動錯視の基本であるコマ表現」を教育(一般/専門)でどう説くかを考える.まず,残像や仮現運動を否定し,ついで,周知の1次元音声標本化と対比させて説明することを試みる.視知覚心理学の根幹にも関わり,吟味の意義は高い.