著者
板垣 芳雄
出版者
東北数学教育学会
雑誌
東北数学教育学会年報 (ISSN:0910268X)
巻号頁・発行日
no.40, pp.35-62, 2009

大正から昭和の敗戦前に、数学のベストセラー受験参考書を書いたカリスマ塾教師、藤森良蔵は「考へ方研究社」の事業として高等数学の普及(大学教育の開放)にも力を入れた。高校受験生や理工系の学生がエリートであった旧制度の時代から遠く、庶民が市民となって大量に進学するようになった現在、学校で教える数学にも内容と質の上での脱皮が迫られている。教師の意識改革を考えるとき、良識の指導への取り組みの姿勢から時代を越えて教えられることが多々ある。授業の質の差異を一つのエピソードで語り、2次方程式が立つ問題について授業展開の案を示して「下から」の印象づけ指導を提唱する。