著者
毛利 雅彦 西田 勤
出版者
水産大学校
雑誌
水産大学校研究報告 = The journal of the Shimonoseki University of Fisheries (ISSN:03709361)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.1-11, 2000-10

まぐろ類の水平および鉛直方向の釣獲分布は、種間で異なることが知られている。まぐろ類の分布に影響をおよぼす要因は数多いと考えられるが、その分布域を広く網羅しかつデータ量の比較的多いものは、水温、塩分および溶存酸素量などがあるに過ぎない。以前著者らは、インド洋のメバチの分布と水温および溶存酸素量との関係を調べたが、本研究では、インド洋のキハダについて同様な関係を調べた。その結果、次のことがわかった。インド洋全域においてキハダの釣獲に適した水温は13-24℃であり、この範囲での平均釣獲率は5.0以上と高かった。海域別にみると、低緯度海域では釣獲率の高い水温の範囲が、同様に13-24℃であった。しかし、南半球の高緯度海域では、釣獲率の高い範囲が17℃以上と、低緯度海域よりも高温側に偏っていた。釣獲に必要な最小溶存酸素量は1ml/lであり、インド洋の北部ほど浅い層での溶存酸素量が少なく、160m以深でlml/l以下になっていた。