著者
増田 悦夫
雑誌
流通経済大学流通情報学部紀要 = Journal of the Faculty of Distribution and Logistics Systems, Ryutsu Keizai University
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.25-43, 2019-03-10

本稿では,購入商品を提示し決済する場所である,店舗のレジに着目し,人手不足への対応や収益の向上を狙いとして取り組まれている省力化・効率化策について,最近の動向をフォローするとともにそれらの対応策について今後の方向を展望した。レジの省力化・効率化策の動向については,①現金決済を基本とするレジにおける省力化・効率化策や製品の動向,②我が国におけるキャッシュレス決済の状況および今後に向けた取り組みとして拍車がかかっているQRコード決済の動向,さらに③Amazon Goの登場により注目を集めた,レジを必要としないレジなし店舗の動向,の3つの項目に分類し,それぞれについて整理した。即ち,①については,レジ業務を来店客に一部あるいは全部を分担させる省力化策として,セミ・セルフレジの導入や買物段階において商品のスキャンを来店客自身に分担してもらう方策を紹介した。さらに,レジの混雑状況を来店客の属性などにより自動的に予測するシステムを紹介した。②については,我が国のキャッシュレス決済の状況や政府の取り組みを示した上で,最近開発が活発化しているQRコード決済サービスの動向について紹介した。さらに③については,Amazon Goの仕組みや狙い,日本における類似システムの動向について紹介した。最後に,上記①から③で紹介したシステムについて,考察を加えるとともに今後の方向を展望した。レジの今後の省力化・効率化策としては,セミ・セルフレジの導入,QRコード決済の導入,入店・退店・商品ピックアップを自動認識する無人店舗の導入が進んでいくものと考えられる。