- 著者
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小谷 二郎
- 出版者
- 石川県農林総合研究センター林業試験場
- 雑誌
- 石川県農林総合研究センター林業試験場研究報告 (ISSN:03888150)
- 巻号頁・発行日
- no.44, pp.39-41, 2012-04
林内の下層植生は、雨水の浸透能や土砂の流出防止と密接に関係しているばかりでなく、林内で生活する動物の生息環境の場としての役割も持っており、下層植生が豊富で発達度合いが高いほど多くの動物が利用できる生活環境が創り出されている可能性が高い。一方、過密な針葉樹人工林は、林内が劣悪な光環境下にあり植生が衰退している。したがって、こうした人工林に対し強度間伐を行って光環境を改善すれば、下層植生が回復すると考えられる。そこで、過密な人工林に対し強度間伐を行って3年経過した林分での下層植生の種数や植被率を、間伐実施前の林分と当面の目標となるある程度広葉樹の混交した林分で比較し、強度間伐の効果を評価した。結果から、強度間伐によって光環境が改善され、間伐実施前に比べて植物の種数や被度は増加し目標林に近づいていることから、林内下層植生の多様性は高まっていることが示された。