著者
八神 徳彦
出版者
石川県林業試験場
雑誌
石川県林業試験場研究報告 (ISSN:03888150)
巻号頁・発行日
no.34, pp.36-41, 2003-03

石川県林業試験場では、平成11年度より平成14年度までツキノワグマ(以下、クマ)によるスギ剥皮被害(以下、クマ剥ぎ)の軽減をめざした一連の研究を行なってきたので、取り組みの概要を示すとともに、クマ剥ぎの原因と対策について考察した。
著者
千木 容
出版者
石川県林業試験場
雑誌
石川県林業試験場研究報告 (ISSN:03888150)
巻号頁・発行日
no.37, pp.9-12, 2005-03

海岸クロマツ林が比較的健全に保たれている金沢市と加賀市の林分について土壌調査を行ったところ、両調査地とも、土壌の理学性から見ると砂丘未熟土であったが、金沢市の林分は、土壌の化学性から見ると黄色系弱乾性褐色森林土の特徴を呈していた。一方、加賀市調査地は、砂丘未熟土の特徴が、強く残っており、その傾向は上木P1が大きかった。両調査地ともかつては、砂が移動する砂丘地であったので、金沢市調査地は、加賀市調査地よりも土壌の化学性が変化したものと考えられる。
著者
小谷 二郎 江崎 功二郎
出版者
石川県林業試験場
巻号頁・発行日
no.42, pp.10-14, 2010 (Released:2011-07-13)

冷温帯のミズナラを主とする二次林で、集団枯損被害が上木の残存状況と林内の稚樹の生育状況に与える影響を調べた。残存木の林相は、ミズナラ優占型、ミズナラ-小高木型、ブナ優占型、小高木型の4つに区分された。区分された林内の稚樹は、ミズナラ優占型とブナ優占型ではブナの密度が高く、ミズナラ-小高木型と小高木型ではミズナラのほかいくつかの高木樹種の密度が高い傾向にあった。ブナ堅果の大豊作年の影響で、大量に実生が発生した林分もみられた。以上のことから、基本的に今後ともミズナラを主とする林分が維持され、中にはブナが優占度を増加させる場合や、一部では多様な樹種構成に変わる場合なども考えられた。
著者
小谷 二郎
出版者
石川県農林総合研究センター林業試験場
雑誌
石川県農林総合研究センター林業試験場研究報告 (ISSN:03888150)
巻号頁・発行日
no.44, pp.39-41, 2012-04

林内の下層植生は、雨水の浸透能や土砂の流出防止と密接に関係しているばかりでなく、林内で生活する動物の生息環境の場としての役割も持っており、下層植生が豊富で発達度合いが高いほど多くの動物が利用できる生活環境が創り出されている可能性が高い。一方、過密な針葉樹人工林は、林内が劣悪な光環境下にあり植生が衰退している。したがって、こうした人工林に対し強度間伐を行って光環境を改善すれば、下層植生が回復すると考えられる。そこで、過密な人工林に対し強度間伐を行って3年経過した林分での下層植生の種数や植被率を、間伐実施前の林分と当面の目標となるある程度広葉樹の混交した林分で比較し、強度間伐の効果を評価した。結果から、強度間伐によって光環境が改善され、間伐実施前に比べて植物の種数や被度は増加し目標林に近づいていることから、林内下層植生の多様性は高まっていることが示された。
著者
小倉 晃 高橋 大輔
出版者
石川県林業試験場
雑誌
石川県林業試験場研究報告 (ISSN:03888150)
巻号頁・発行日
no.38, pp.27-32, 2006-03

石川県鹿島郡中能登町石動山県有林で、ヒノキアスナロ(以下、アテ)人工林の表土浸食の実態および表土浸食防止機能の評価方法開発を行った結果、間伐手遅れのアテ林分では、下層植生が消滅、林床被覆物・表土の流出が起こり、4.6-11.7/ha/yr流出していると推測された。また、立木密度と傾斜からアテ人工林における年間浸食量の予測方法を確立した。さらに、USLE式におけるアテの作物管理係数が明らかになったが、林小班単位でのUSLE式による表土浸食防止機能評価はさらなる検討が必要であった。
著者
能勢 育夫
出版者
石川県林業試験場
巻号頁・発行日
no.29, pp.12-13, 1998 (Released:2011-03-05)
出版者
石川県林業試験場
雑誌
石川県林業試験場研究報告 (ISSN:03888150)
巻号頁・発行日
no.37, pp.59-60, 2005-03

2004年石川県では、ツキノワグマ(以下、クマ)が集落周辺に頻繁に出没し人身事故も発生した。今後クマの出没を早期に予測し警戒にあたれるよう、過去のクマの出没状況を新聞記事から読み取り、堅果類の結実状況との関係を石川県小松市をモデルとして検討した。この結果、「ブナ・コナラの凶作指数増減」と「クマ出没件数増減」の間に有意な相関がみられ、堅果類が豊作の翌年に凶作になった年にクマの出現件数も増加する傾向がみられた。