著者
中山 心太
雑誌
第56回プログラミング・シンポジウム予稿集
巻号頁・発行日
vol.2015, pp.143-150, 2015-01-09

近年、スマートフォン上で遊ぶことができるフリーミアム型のゲームが増えてきている。フリーミアム型のゲームの収益は広告収入や、コンテンツ課金に依存している。コンテンツ課金は、多くの人が遊ぶことにより生まれる競争心や、多くの人が遊んでいる信頼あるゲームという感覚に強く依存している。そのため、より多くのユーザが遊んでいるゲームが、より多くの収益を得る、というビジネス構造になっている。より多くのユーザに遊び続けてもらうには、常に面白い体験を提供し続けなくてはならない。そのため、ユーザに退屈を感じさせないようにリリース後のゲームバランスの調整が常に行われており、その手腕は差別化の一因となっている。そこで本稿では、心理学と統計的アプローチを利用した、リリース後のオンラインゲームにおけるゲームバランスの調整手法の提案を行う。
著者
大泉 良介 岩崎 英哉
雑誌
第56回プログラミング・シンポジウム予稿集
巻号頁・発行日
vol.2015, pp.1-11, 2015-01-09

本稿では,プログラムの穴埋め問題とプログラム実行の視覚化を組み合わせた,初学者向けのプログラミング学習ツールである拡張Online Python Tutor(拡張OPT)を提案する.拡張OPTは,web上で動作し,プログラムの穴埋め問題を,プログラム実行の視覚化とともに出題する.学習者は視覚化されたプログラム実行の過程を確認し,その実行過程と合致するように穴埋め問題に解答する.誤答の場合には,誤答プログラムによる実行過程を正答プログラムの実行過程と並べて視覚化して提示する.これにより,正答と誤答の振る舞いの違いを明確にし,学習者の理解を促す.学習者はこれを繰り返すことによって,プログラミングに関する理解を深めることができる.穴埋めの正解判定は,正解プログラムと学習者からの解答のプログラムの実行トレースを比較することで行う.この方法により,正解が唯一に定まるとは限らないという問題に対処した.
著者
林 拓人 前田 敦司
雑誌
第56回プログラミング・シンポジウム予稿集
巻号頁・発行日
vol.2015, pp.121-130, 2015-01-09

従来のクラスベース・オブジェクトシステムは,メソッドをクラスに格納するものと総称関数に格納するもの(メソッドがクラスに属すものと総称関数に属すもの)とに分けられる.本論文はこれらのいずれとも異なり,環境にメソッドを直接格納する新しいオブジェクトシステムを提案する.クラスや総称関数といった枠を廃し,クラス名とメソッド名の組をキーとして環境にメソッドを直接格納する.これにより変数に対して行えるあらゆる操作がメソッドに対しても自然に行えるようになり,従来の方式に比べシンプルな仕組みで柔軟なオブジェクト指向プログラミングが可能となる.提案する手法の有用性を実証するため,このオブジェクトシステムを搭載する独自言語Suzuの処理系を実装した.Suzuの特徴を生かすプログラム例として言語内DSL(Domain Specific Language)の構築例を挙げる.従来のオブジェクトシステムにおける類似した概念等との関連についても議論する.
著者
門脇 香子 浅井 健一
雑誌
第56回プログラミング・シンポジウム予稿集
巻号頁・発行日
vol.2015, pp.115-120, 2015-01-09

Agda はマルティンレフの型理論に基づいた定理証明支援器であり,その一方で依存型をもつ関数型プログラミング言語でもある.Agda では依存型 (Dependant Types) を用いることができるのも大きな特徴である.また,定理証明支援器とプログラミング言語両方の特徴をもちあわせていることから,何かを実装しつつ証明するのに適している.そこで本稿では,停止性が保証された型推論器を Agda により構成する.なかでも, Unification の実装では, McBride の手法を採用する.これは型変数の数を巧妙に管理することで構造に従った再帰を使って(つまり停止性が明らかな形で)型の Unification を表現できることを示したものである.本稿では Term の型変数の数に注目しつつ,主に Unification の部分と Application の実装にフォーカスを当てながら実装していく.