著者
田中 佑弥 Yuya Tanaka
雑誌
臨床教育学研究 = Clinical Education (ISSN:13412434)
巻号頁・発行日
no.23, pp.13-22, 2017-03

近年、フリースクールの制度化を目指す動きが活発化し、2016 年には「教育機会確保法」が成立したが、フリースクールの制度化をめぐってはさまざまな意見がある。本稿では、フリースクールの制度化に先行してフリースクールに言及した政府の有識者会議の報告書や、制度化に反対する障害者運動の主張を検討し、論争において何が焦点化されているかを考察した。政府の有識者会議が主に人的資本の有効活用という観点からフリースクールの制度化を捉えているのに対し、「普通学級」へのインクルージョンを主張してきた障害者運動は「分離・別学体制」の強化と捉えている。そして、さまざまな批判があるなかで、NPO 法人フリースクール全国ネットワーク代表理事の奥地圭子は、不登校の子どもの権利を保障するという観点から、フリースクールの制度化を推進していることをインタビューにより明らかにした。