著者
佐藤 季久恵 高屋 英知 小川 亮 芦原 佑太 栗原 聡
雑誌
行動変容と社会システム
巻号頁・発行日
vol.1(2017), 2017-03-02

近年,都市部にて発生する交通渋滞は,ドライバーの時間的損失だけでなく,輸送の遅延や燃料消費の増加に伴う経済的損失を引き起こしている.さらに排気ガスによる大気汚染や騒音,追突事故等の主要な要因としても指摘されている.交通渋滞の解消における主なアプローチとして,適切なナビゲーションにより交通流の分散を図るアプローチや信号制御によりスムーズな交通流を生みだすアプローチがある.今回は後者について交通渋滞を解消する手法を提案する.信号制御の手法として,これまでにも GA やマルチエージェントなどによる手法が提案されている.いずれの先行研究も高次元な交通情報からあらかじめ必要な情報を定め,その情報をシステムの入力値として与えている.しかし,あらかじめ定められていない情報にも信号制御に重要な情報が含まれている可能性があり,交通に関する高次元な情報量から信号制御を行うために必要不可欠な特徴をいかに抽出するかが課題となっている.本研究では,道路交通画像という高次元な情報からエージェント自身が信号制御に必要な情報を抽出し,適切な信号機のパラメータ操作を出力することを目的とする.そこで,高い特徴抽出能力を持つ深層学習法と,報酬に基づいた最適な行為を学習する強化学習法を組み合わせた Deep Q-Network を用いた制御手法を提案する.その結果,エージェントに道路交通画像を与えると,エージェント自身が学習し,効率的に信号制御できることが確認された.