著者
川口 敬之 阿部 真貴子 山口 創生 五十嵐 百花 小川 亮 塩澤 拓亮 安間 尚徳 佐藤 さやか 宮本 有紀 藤井 千代
出版者
公益財団法人 医療科学研究所
雑誌
医療と社会 (ISSN:09169202)
巻号頁・発行日
pp.2023.001, (Released:2023-08-23)
参考文献数
21

目的:精神保健福祉に関わる複数の立場の者が「患者・市民参画(Patient and Public involvement:PPI)」による研究を想定した際に,参画する研究段階や研究テーマについて,どのような考えを持っているかを明らかにすることを目的とした。方法:対象は,当事者,家族,支援専門職,行政職員,研究者の立場の参加者37名とし,半構造的なフォーカスグループインタビューを実施した。インタビューでは,PPIによる研究に対し,『どの研究段階で共同したいか/共同できるか』および『研究テーマや方法によって共同したい気持ちは変わるか』に関する参加者個人の考えを聴取した。質的データは,質的内容分析に基づきカテゴリー化を行った。結果・考察:研究段階に関する【研究段階によるPPI実施の可能性】および【各研究段階におけるPPI実施に関する見解】の2領域では,全ての研究段階で共同することの意義とともに,当事者や家族による柔軟な参加の許容が望まれるとする見解や,研究段階における当事者や家族の参画の意義や課題感が示された。また,研究テーマによるPPI実施についての具体的な意見に基づいた【研究テーマによるPPIの実現可能性】および【PPIに基づく研究が有効または実施が期待される研究テーマ】の2領域が生成された。精神保健福祉研究におけるPPIの普及に向け,成功事例の蓄積や解決策の検討を行うべき課題が提示された。
著者
小川 亮 坪井 一晃 栗原 聡
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.31, 2017

重大な社会問題である交通渋滞において,渋滞解消のための効果的な信号制御手法の確立が切望されている.信号制御に関する研究は多数あるが,交通量に関する情報の潤沢な利用を前提とするものも多い.しかし,現実では多くの交差点で交通量を取得できないといった制限がある.そこで,群知能手法の一種であるフェロモンコミュニケーション法を用い,取得できない情報を補完し,効果的に信号機制御を行う手法を提案する.
著者
小川 亮 小口 裕 千田 彩花
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.55-67, 2024-01-10 (Released:2024-01-10)
参考文献数
33

本稿では,生成AIが人の創造性にどのように貢献するかについて研究を行った。マーケティング,心理学,認知科学における創造性研究レビューを行い,創造プロセスを考察した上で,生成AIの仕組みとの類似性から仮説を構築した。生成AIの活用が創造性のプロセスに寄与する,生成AIが作成した情報を段階的に提示することが創造性に寄与する,専門知識が高い創造主体の方が生成AIを活用して創造性を発揮しやすいという3つの仮説を立て実験を行った。実験ではAIを活用して制作したデザインとAIを活用せずに制作したデザインをそれぞれ6案用意し,3名のパッケージデザイナーのエキスパートインタビュー,85名のパッケージデザイナーへの定量調査,200名のユーザー調査を行った。検証の結果,ユーザー調査からは生成AIによる創造性寄与が見られた。一方,85名のパッケージデザイナーへの調査からは段階的な情報提示による創造性への寄与は見られなかった。また同調査から,生成AIが経験年数の短いデザイナーの創造性を向上させること,また経験年数の長いデザイナーに対しては目的から距離のあるAI生成画像であっても創造性に寄与する点が確認できた。
著者
小川 亮
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.47-62, 2019-03-29 (Released:2019-03-29)
参考文献数
42

本研究は製品開発プロセスの初期段階においてデザインを活用することの有効性を検証する。開発初期段階のコンセプトテストにおいて,接触可能なデザインを活用することで情報の具体性が増加しその結果,消費者からの改良アイデアが出やすくなることについて2つの視点から仮説を構築し実証分析を行った。1つは提示する情報が具体的であるほど,製品の改良アイデアが出やすいという解釈レベル理論に基づく仮説であり,もう1つは実際に製品を触れさせるという提示方法を用いることで,製品の意味概念の活性化が行われるため,改良アイデアが出やすいというハプティック知覚研究に基づく仮説である。富士里和製紙の製品開発プロセスにおいて実際に使用されたトイレットペーパーの提示物を用いて会場調査を行い,コンセプトテストにおいて文字で提示する場合と平面デザイン及び接触可能な立体デザインで提示する場合の改良アイデアの出やすさにおける差を検証した。その結果,文字情報のみを提示した場合と接触できる立体デザインを提示した場合では後者の方が具体性が高く,意味概念の活性化が行われ,改良アイデアが出やすいことに有意に差が見られた。
著者
森川 友樹 糸島 亮 小川 亮 小田 新 廣間 武彦 中村 友彦
出版者
一般社団法人 日本周産期・新生児医学会
雑誌
日本周産期・新生児医学会雑誌 (ISSN:1348964X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.195-199, 2022 (Released:2022-05-10)
参考文献数
18

妊娠初期の梅毒血清検査が陰性で当院への新生児搬送時には未診断であった先天梅毒の症例を経験した.母親は22歳,妊娠13週の梅毒血清検査は陰性だったが,同時期に外陰部に潰瘍を認め,診断に至らず軽快していた.児は33週5日,出生体重1,586g,緊急帝王切開で出生した.重症新生児仮死となり当院へ新生児搬送となった.鞍鼻,全身の皮膚の落屑,肝脾腫を認め,児の梅毒血清抗体価の上昇から先天梅毒と診断した.出生時よりなんらかの先天感染を疑い,Ampicillin(ABPC),Cefotaxime(CTX)による抗生剤治療を開始していたが,日齢4の先天梅毒の確定診断後よりBenzylpenicillin(PCG)に切り替え10日間治療した.後障害なく退院し1歳半時点で成長発達は正常である.近年,若年女性の梅毒および先天梅毒の報告数が増加しており,妊娠初期以降の梅毒感染にも注意する必要がある.
著者
小川 亮
出版者
The Philosophy of Science Society, Japan
雑誌
科学哲学 (ISSN:02893428)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.1-1, 2022-12-10 (Released:2022-12-10)
参考文献数
51

In Japan, despite its popularity in natural science and philosophy, Inference to the Best Explanation is generally considered as an argument for scientific realism rather than as a method of philosophy. This paper aims to marshal some relevant topics in dispute and defend IBE against its critics. The distinct feature of IBE is that it considers simplicity and fruitfulness as theoretical virtues. This character makes IBE useful as a common method of philosophical inquiry. In conclusion, IBE is tenable as a heuristic to identify a working hypothesis, at least.
著者
戸田 佳孝 竹村 清介 森本 忠信 小川 亮恵
出版者
The Japan Society for Clinical Immunology
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.44-51, 1997-02-28 (Released:2009-02-13)
参考文献数
18
被引用文献数
3 4

慢性関節リウマチ(以下, RA)患者に対する経口II型コラーゲン(以下, C II)の効果をHLA-DRB 1*0405遺伝子を有する群(0405群)とそれを有しない群(非0405群)に分類して評価した. 38例のRA患者を1日32mgのC IIを含む鶏軟骨スープを3カ月間投与した群(C II群)と,プラセボスープを投与した群(placebo群)に分類した. 0405/C II群は11例, 0405/placebo群は11例,非0405/C II群は9例,非0405/placebo群は9例であった. C II群では, placebo群に比べて,有意に抗ヒトC II IgG抗体値が低下し(p<0.0001),抗ヒトC II IgA抗体値が有意に増加した(p=0.003).腫脹および疼痛関節数の変化は, 0405/C II群と0405/placebo群間(腫脹関節数p=0.03,疼痛p=0.03), 0405/C II群と非0405群/C II群間(腫脹p=0.006,疼痛p=0.01)に有意差があっため, HLA-DRB 1*0405遺伝子陽性の症例では経口C II療法が有効であると結論した.
著者
小川 亮
出版者
情報法制学会
雑誌
情報法制研究 (ISSN:24330264)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.51-67, 2022 (Released:2022-08-28)

Consent fatigue is one of the major problems for privacy protection. Why is consent to provide personal information necessary, then? Instrumentalists regard consent as an instrument to secure the interests of the consenter. The autonomy-based theory rgues respect for autonomy requires consent. This paper aims to show how instrumentalist explanation is justified, whilst the autonomy-based theory is not. Instrumentalism can obtain plausible justifications and guide practice sufficiently based on utilitarianism. On the contrary, the autonomy-based theory cannot propose any guidance for practice because of the problem of the incommensurability of value.
著者
小川 亮恵
出版者
関西医科大学医学会
雑誌
関西医科大学雑誌 (ISSN:00228400)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.757-777, 1975-12-20 (Released:2013-02-19)
参考文献数
26

As for the tendon lesions of the rheumatoid hand the reports of pathohistological studies are very limited except the works of Kellgren and Ball, Ehrlich et al and Potter and Kuhns. There still remain several problems not yet settled in the field of pathohi- stology, especially in the pathogenesis of tendon nodule and its relation to the development of tenosynovitis.The author made a pathohistological research using specimens removed from thirty-two patients operated on by himself, which includes the treatment of 22 hands of extensor tenosynovitis,18 fingers of digital flexor tenosynovitis and three cases of flexor tenosynovitis of the wrist. Ordinary staining such as H. E., Azan-Marolly, van Gieson, Toluidin-blue, Weigert-fibrin and Silver stainings were performed for microscopic examinat ion.The following conclusions were drawn not only from pathological findings but also from clinical features and operative findings.1. From the findings of forty-three tendon lesions the lesions could be classified into the following three groups: 1) tenosynovitis in 34,2) tendinitis in one,3) co-existence of tenosynovitis and tendinitis in 8. This suggests that the tendinitis does not always occur as a secondary product from the tenosynovitis.2. Microscopic manifestations of the findings of tenosynovitis are in many respects very similar to the synovitis of the joint of rheumatoid arthritis, but the findings of tenosynovitis are rather simple in histological manifestation as compared to joint synovitis.3. Histologically a nodule-like swelling or a nodule formation in the tissue of tendon substance is most characteristic. These nodule-like tendon lesions were classified into three types by the author,1) proliferated granuloma in epitendineum which is seen in 4 tendons,2) a. proliferated granuloma in peritendineum which is seen in 4 tendons,2) b. degenerative changes in tendon substance in one tendon. In addition to the above findings the author noticed that the inflammatory findings both in epitendineum and peritendineum were very similar to those in articular synovial tissue.
著者
佐藤 季久恵 高屋 英知 小川 亮 芦原 佑太 栗原 聡
雑誌
行動変容と社会システム
巻号頁・発行日
vol.1(2017), 2017-03-02

近年,都市部にて発生する交通渋滞は,ドライバーの時間的損失だけでなく,輸送の遅延や燃料消費の増加に伴う経済的損失を引き起こしている.さらに排気ガスによる大気汚染や騒音,追突事故等の主要な要因としても指摘されている.交通渋滞の解消における主なアプローチとして,適切なナビゲーションにより交通流の分散を図るアプローチや信号制御によりスムーズな交通流を生みだすアプローチがある.今回は後者について交通渋滞を解消する手法を提案する.信号制御の手法として,これまでにも GA やマルチエージェントなどによる手法が提案されている.いずれの先行研究も高次元な交通情報からあらかじめ必要な情報を定め,その情報をシステムの入力値として与えている.しかし,あらかじめ定められていない情報にも信号制御に重要な情報が含まれている可能性があり,交通に関する高次元な情報量から信号制御を行うために必要不可欠な特徴をいかに抽出するかが課題となっている.本研究では,道路交通画像という高次元な情報からエージェント自身が信号制御に必要な情報を抽出し,適切な信号機のパラメータ操作を出力することを目的とする.そこで,高い特徴抽出能力を持つ深層学習法と,報酬に基づいた最適な行為を学習する強化学習法を組み合わせた Deep Q-Network を用いた制御手法を提案する.その結果,エージェントに道路交通画像を与えると,エージェント自身が学習し,効率的に信号制御できることが確認された.
著者
佐藤 季久恵 高屋 英知 小川 亮 芦原 佑太 栗原 聡
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.31, 2017

交通渋滞の解消における主な取り組みであるナビゲーションと信号機制御において,今回は後者について深層学習を用いる手法を提案する.これまでにもGAやマルチエージェント等による手法が提案されているが,交通状況の特徴をいかに抽出するかが課題となっている.そこで,高い特徴抽出能力を持つ深層学習と,報酬に基づいた最適な行為を学習する強化学習を組み合わせたDeep Q-Networkを用いた制御手法を提案する.