著者
瀧 巖
出版者
日本貝類学会
雑誌
貝類學雜誌 (ISSN:24330701)
巻号頁・発行日
vol.13, no.5-8, pp.267-310, 1944-08-30 (Released:2018-01-31)

(1) マダコ屬に於て雌雄は外形, 體の大さ, 外套の形で區別せられる.(2) 更に雄に於ては腕の太く, 且吸盤の大きくなることによつても區別される.(3) 後唾腺はテナガダコの雄に於て雌よりも大きいが, その變異も甚だしい.(4) 肝臟(中腸腺)はマダコ屬3種に於て雌の方が大きく, この區別は發生の初期から認められる.(5) 水槽中に於ける觀察で雌雄の生態的差異を記した.(6) 雄生殖器の解剖學的所見を詳記し, 特にMarchand(1907)が精莢腺第一部とした部分は基部精莢腺proximal spermatophoric glandとして之を區別し, 又精莢腺は之を屈折點より3分するのが適當であることを記した.(7) 雄生殖器に於て陰莖枝の形態を考察し, マダコ科に4型を區別した.(8) 陰莖枝は後期發生に於て陰莖基部の彎曲部に陰莖が一廻轉しつゝ膨出部を生ずることによつて形成せられる.(9) テナガダコ精巣は内臟嚢の左側前方から後端に成長と共に筋肉の収縮によつて移動する.この筋肉を精巣牽引筋retractor muscle of testisと名付けた.幼若期に存する特殊器官の一である.(10) 交接腕の發育を觀察し, マダコ科にマダコ型, ミヅダコ型, テナガダコ型の3型あることを記した.(11) 卵巣は體の後端に生じ成長と共に移動することはない.(12) テナガダコに於ける後唾腺, マダコ屬3種に於ける肝臟及び吸盤直徑に於ける性的差異が雌雄發育中の如何なる時期に成立するかを精査した結果, 發育中の或る時期に性的分化點があり, それは生殖腺成熟と必ずしも一致しない事を見た.(13) マダコの雄を去勢して飼育した場合, 交接腕は正常の如く發育する.(14) マダコ雄の精巣剔出により, 輸精管より精莢嚢に至る輸精管系は組織融解を初め, 3∿4個月後には全く退化し液化するに至る.併し陰莖は之に參與しない.この輸精管系の融解は精巣の缺如によるもので, 精巣の生成物質に是等器官の維持と機能に必要なる成分が含まれるものと考へられる.(15) マダコ雌の去勢により何等見るべき外形上の異常なく, 輸卵管は正常の如く發育する.(16) マダコ屬3種の兩性に就いての形態的, 實驗的考察により, 生殖腺に性的特徴を支配する内分泌現象の存することを確證することは出來なかつた.
著者
槇山 次郎
出版者
日本貝類学会
雑誌
貝類學雜誌 (ISSN:00423580)
巻号頁・発行日
vol.14, no.5, pp.158-160, 1946-12-30