著者
木之内 秀彦
出版者
鈴鹿大学・鈴鹿大学短期大学部
雑誌
鈴鹿大学・鈴鹿大学短期大学部紀要 = Journal of Suzuka University and Suzuka Junior College (ISSN:24356530)
巻号頁・発行日
no.3, pp.193-210, 2020

権威主義的政治体制の持続力は専ら抑圧と懐柔(体制内エリートや反体制勢力に対する便益供与を通じた無害化)に立脚していると一般に理解されてきた。抑圧と懐柔は今なお同体制を支える支柱ではあるが、今日の権威主義体制の耐久性はこれだけでは説明できない。本稿は現状維持メカニズムが同体制の持久力を支えている可能性を、プロスペクト理論、民衆的公正観念、経路依存性の視座を手がかりに、提示する。