著者
平林 孝裕
出版者
関西学院大学
雑誌
関西学院大学キリスト教と文化研究 (ISSN:13454382)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.113-132, 2006

近代以降の日本において、キリスト教は教育の領域で大きな働きをなしてきた。海外から日本を訪れた宣教師や宣教団体は、キリスト教信仰を伝えて教会を建てると同時に、学校を設立した。このような歴史的背景により今日もしばしばミッションスクールと一般に呼称されるキリスト教主義学校は、独自の教育機関として日本の教育界で確かな地位を占めている。キリスト教主義学校の独自性を、どこに見定めるかという問は、慎重に答えられるべきであるけれども、その独自性は、キリスト教について教科教育(宗教科・聖書科やキリスト教科目)とチャペルアワーに代表される正課外諸活動として具体化されている。後者には、奉仕活動から音楽などの文化活動も含まれるが、その枢要な部分を占めるべきものは、やはり定例乃至特別の礼拝形式で行われる諸活動であろう。この目的のために、キリスト教主義では、とくにチャペルと呼ばれるキリスト教の礼拝堂が備えられる。チャペルには、通常の教室と異なったキリスト教的雰囲気が醸成されており、これが他の学校では体験できないキリスト教主義学校独特の環境を形成し、ここで学ぶ学生・生徒ほかにしばしば強い印象を与えている。