著者
荒川 博 伊奈 健宏 松浦 英之
出版者
静岡県農業試験場
雑誌
静岡県農業試験場研究報告 (ISSN:0583094X)
巻号頁・発行日
no.46, pp.35-43, 2001-12
被引用文献数
1

ワサビのいくつかの品種・系統を供試し、主な辛味成分であるアリルイソチオシアネートとその生成因子との関係、部位別分布を調査し、簡便で精度の高い辛味成分の評価法について検討した。 1. ワサビ根茎部のアリルイソチオシアネート含量は、品種・系統間差がある傾向がみられた。また、肥大性の良い品種・系統でアリルイソチオシアネート含量が低い傾向であった。 2 ワサビ根茎部におけるアリルイソチオシアネートの生成には、前駆物質であるシニグリン含量が大きく影響し、根茎内のビタミンC含量、ミロシナーゼ活性の影響はみられなかった。同時期に収穫したワサビの辛味成分の評価法としてシニグリン含量を指標にできることが示唆された。 3 根茎部内のアリルイソチオシアネート、シニグリンは外層部に多く、中心部で低かった。また、ミロシナーゼ活性は、維管束部で最も高く、髄ではほとんど認められなかった。 4 根茎部の中位部・中心部におけるシニグリン含量から根茎全体のシニグリン含量を精度良く評価できることを明らかにした。
著者
佐藤 展之 本間 義之 川瀬 範毅
出版者
静岡県農業試験場
雑誌
静岡県農業試験場研究報告 (ISSN:0583094X)
巻号頁・発行日
no.47, pp.49-57, 2002-12

2005年に全廃される臭化メチル代替技術の一つとして、従来からの土壌消毒技術である蒸気消毒に散水を同時に行うことで、省力かつ効果的に土壌深部の温度を上昇させる散水蒸気消毒方法について検討した。散水蒸気消毒は、蒸気管と散水チューブを地表に設置した後ビニルフィルムで全面を覆い蒸気送出後に散水を行う方法で、散水を行わない場合と比較して地下20cm以下の高温維持期間が長くなる。蒸気管としては従来の埋設式蒸気消毒法で使用していたホジソンパイプの他に、軽量で取り扱いが容易な布製のキャンバスホースやナイロンポリエチレン耐熱フィルム製のホースもより効果的に使用できる。また、うねを立て後の散水蒸気消毒は、地表面積を増加させ蒸気の熱を効率的に土壌に伝達でき、その後の散水による地下深部の温度上昇効果も高かった。