著者
外岡 慎 本間 義之 貫井 秀樹 大場 聖司 市村 一雄
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.101-108, 2021 (Released:2021-03-31)
参考文献数
19
被引用文献数
2

ガーベラはハサミを用いずに引き抜いて収穫する.湿式輸送では切り戻しにより調整するが,乾式輸送では切り戻しによる調整は行わずに出荷する.ガーベラ切り花において,調整(切り戻し)の有無が花茎からの糖質および電解質の溶出,生け水の濁度および日持ちに及ぼす影響について検討した.ガーベラ ‘ミノウ’ における収穫時の平均切り花長は57 cmだった.‘ミノウ’ では,生け水の電気伝導率,糖質濃度および濁度は花茎を切断する位置と方法に影響された.調整しない場合および基部近くで切り戻した場合には,花首から40 cmの部位で切り戻した場合よりも低くなった.また,生け水の電気伝導率と濁度,電気伝導率と糖質濃度および濁度と糖質濃度との間には正の相関関係が認められた.7品種を用いて日持ち,電気伝導率,濁度および吸水量を調査したところ,有意な品種間差がみられた.また日持ちと濁度との間には負の相関関係がみられた.次に最も日持ちの長かった ‘ピンタ’ と短かった ‘ピクチャーパーフェクト’ において,切り戻しの有無が生け水の濁度,糖質の溶出および日持ちに及ぼす影響を調査した.‘ピンタ’ では,調整により生け水の濁度と糖質濃度の上昇はわずかであり,日持ちが延長した.それに対して,‘ピクチャーパーフェクト’ では調整により濁度と糖質濃度が上昇し,日持ちが延長しなかった.以上の結果から,調整したガーベラ切り花から糖質と電解質が溶出し,この量の違いが日持ちの品種間差に関与している可能性が示唆された.
著者
佐藤 展之 本間 義之 川瀬 範毅
出版者
静岡県農業試験場
雑誌
静岡県農業試験場研究報告 (ISSN:0583094X)
巻号頁・発行日
no.47, pp.49-57, 2002-12

2005年に全廃される臭化メチル代替技術の一つとして、従来からの土壌消毒技術である蒸気消毒に散水を同時に行うことで、省力かつ効果的に土壌深部の温度を上昇させる散水蒸気消毒方法について検討した。散水蒸気消毒は、蒸気管と散水チューブを地表に設置した後ビニルフィルムで全面を覆い蒸気送出後に散水を行う方法で、散水を行わない場合と比較して地下20cm以下の高温維持期間が長くなる。蒸気管としては従来の埋設式蒸気消毒法で使用していたホジソンパイプの他に、軽量で取り扱いが容易な布製のキャンバスホースやナイロンポリエチレン耐熱フィルム製のホースもより効果的に使用できる。また、うねを立て後の散水蒸気消毒は、地表面積を増加させ蒸気の熱を効率的に土壌に伝達でき、その後の散水による地下深部の温度上昇効果も高かった。