著者
高橋 是太郎
出版者
食用加工油脂技術研究会
雑誌
食用加工油脂技術研究会会報
巻号頁・発行日
vol.80, pp.19-31, 1998-02

アラキドン酸、EPAやDHAなど生体機能の制御に関連する高度不飽和脂肪酸は、それらがリン脂質になったときを起点として生理作用を発動し始める。一方、リン脂質は元来その構成脂肪酸にかかわらず、油脂や脂溶性ピタミンの消化、吸収を助けるとともに、それ自体もコリン、イノシトール、リンの供給源となる九また、血中コレステロールをはじめとする血清中の脂質量を制御するなど、肝臓や胆のうの代謝機能にも深く関わっている。ここでは特にリン脂質のうちでDHAやEPAをアシル基にもつ分子種群にしぼって、それらの高次機能について考えるとともに、そのようなリン脂質を酵素剤を用いて合成するには何が皮応率を大きく左右するかについても考察する。