著者
谷口 るり子 Ruriko Taniguchi
出版者
甲南大学マネジメント創造学部HSMR編集委員会
雑誌
Hirao School of Management review (ISSN:21860165)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.53-68, 2019

公園は誰もがくつろげる空間でなければならないはずである。しかし、都市公園への指定管理者制度等の導入が可能になり、都市公園の商業化が進み、公の役割が軽んじられつつある。本研究では、大阪城公園を例に、大規模な都市公園の現状を調べた。その結果、指定管理者制度を導入してからの3年の間に、多数の商業施設が公園内に建設されたこと、その前に約1,200本の樹木が伐採されたこと、憩いの場としての公園の機能が低下したこと、行政・指定管理者・市民の間の話し合いの場が無いこと、大阪市にとって収支は大幅な黒字になったが、指定管理者制度を導入していなくても全国的な訪日外国人数の増加により黒字になっていたと考えられること等が分かった。 これらを踏まえて、大規模都市公園の運用・あり方に対し3つの提言を行った:指定管理者制度等を導入し民間管理にするのであれば、少なくとも行政と管理者と住民との間の話し合いの場を設け妥協点を探るべきである、都市公園の商業化が果たして住民のためになるのかを考え直すべき時期に来ている、都市公園を公園として守るには住民自身が都市公園の問題に関心をもち行政をチェックする必要がある。