著者
鳥海 不二夫 吉田 光男
出版者
Webインテリジェンスとインタラクション研究会
雑誌
Webインテリジェンスとインタラクション研究会 予稿集 第12回研究会 (ISSN:27582922)
巻号頁・発行日
pp.27-32, 2018 (Released:2022-11-07)
参考文献数
15

本研究では,2017年に行われた衆議院選挙の政党公式アカウントのツイートの拡散力について分析を行った.まず,公式アカウントのフォロワーとそのソーシャルネットワーク,選挙期間中の公式アカウントのツイートの拡散状況を収集した. 本研究では6政党の公式アカウントを含む61,462,601ユーザの503,648,217ツイートを収集し,当該データを用いて分析を行った.まず,各政党のツイートがどの程度のユーザまで到達した可能性があるかを拡散カと定義し,各政党の拡散力を評価した.その結果,フォロワー数と拡散力は必ずしも一致せず,最もフォロワー数が多かった立憲民主党よりも自民党のアカウントの方が高い拡散力を持つことが明らかとなった.次に,フォロワー数と拡散力の強さが一致しなかった要因の分析を行った. その結果,フォロワー同士のソーシャルネットワークと,公式アカウントのツイート内容が拡散力に大きく影響を与えていることが明らかとなった.自民党の公式アカウントは,フォロワーのフォロワーに政党をフォローしていないユーザが多いこと,政治的なツイート以外をほとんど行っていないことの二点が高い拡散力を持っている要因であることが明らかとなった.一方,立憲民主党のアカウントではフォロワー同士のつながりが強く,また公式アカウントが多数の非政治的ツイートを行っており,ネット選挙における戦略の違いが拡散力の差につながっていることが明らかとなった.