著者
廣瀬 丈洋
出版者
国立研究開発法人海洋研究開発機構
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

沈み込み帯で発生するスロー地震には、水が深く関与していると考えられている。しかし、スロー地震の物理的発生メカニズムはまだよくわかっていない。本研究では、間隙水圧比(静岩圧に対する水圧の割合)がスロー地震の発生と密接に関わっているという仮説を、地震発生域の熱水環境を再現した低~高速すべり摩擦実験によって検証したい。特に、「断層の摩擦特性が間隙水圧比の変動によってどのように変化するのか」ということを詳細に調べて、物質学的視点からスロー地震の発生機構の解明を目指す。平成29年度は、初年度に設置した回転式熱水摩擦試験のシール、載荷、昇温性能を確認するための予備試験を進めるとともに、粉末模擬断層試料をもちいて摩擦実験をおこなえるように試料ホルダーの改良と試料作製ツールの研究開発を行った。作成した試料ホルダーとスロー地震発生場に存在しうる物質を用いた予備実験は順調に進んでいるが、熱水条件下での実験を行うには労働安全衛生法に基づく第一種圧力容器の落成検査等の手続きが必要であり、最終年度前半に手続きを進める予定である。実際にスロー地震発生場でどの程度の異常間隙水圧が存在しているのかを調べて、その結果を実験条件に反映すべく、南海トラフ室戸沖のスロー地震発生場における間隙水圧を掘削時に観察された遷移的泥水フローの解析から推定することを試みた。その結果、室戸沖プレート境界直下で、静水圧より2~4 MPaほど大きな異常間隙水圧が推定された。この値は間隙水圧比に換算すると約0.4となる。今後この値を基準値として間隙水圧比を変化させて、水圧比と摩擦特性の相関関係を探る予定である。

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KAKEN — 熱水摩擦実験に基づくスロー地震発生の物理化学プロセスの解明 https://t.co/uclddDLoAb

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