著者
久保田 一雄 町田 泉 田村 耕成 倉林 均 白倉 卓夫
出版者
リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.40-45, 1997-01-18
参考文献数
23
被引用文献数
2

平成2年6月からの5年間に46例のアトピー性皮膚炎患者(男性31例, 女性15例, 25±11歳)に対して, 草津温泉療法(40~42℃, 1回10分, 1日1~2回)を3~28週行った。その泉質は酸性(pH2.0)-アルミニウム-硫酸塩・塩化物温泉である。32例(70%)で皮層症状が改善し, さらにそのうち18例で掻痒も改善した。皮膚症状の改善は血清LDHの有意な低下でも裏付けられた。皮膚症状改善例のうち, 温泉療法前に皮層表面に多数の黄色ぶどう球菌が検出された15例では, 温泉療法後に13例で消失, 2例で減少した。この草津温泉療法による皮層症状の改善機序として, 皮膚病変の増悪因子である黄色ぶどう球菌に対する酸性温泉水の殺菌作用が推定される。