- 著者
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北尾重政 画
- 出版者
- 中村小兵衛[ほか1名]
- 巻号頁・発行日
- 1771
北尾重政画。歌舞伎風俗絵本。半紙本3巻合1冊。明和8年(1771)正月、江戸芝切通・中村小兵衛、中村忠治刊。墨摺り筆彩。蔵書印「談洲楼燕枝」他。現状は上下2巻本のような外観を呈するが、丁付によれば、下冊は中・下巻の合綴であると判断される。莫逆新泉陳人の序に「武江は霜月時を違へす、旭に向ふ三番叟絶すとふたりの大入、其繁昌を北尾氏の画に写し、三家栄種と題し」云々とある通り、江戸の歌舞伎の繁栄ぶりを描いたもの。上巻は、題名の「三家」に当たる中村座、市村座、森田座の起源を中心に扱い、中巻は顔見世の様子を花道、鶉桟敷、下座、切落客、桟敷客、仕切り場など、下巻は見物の貴賤、三階(楽屋)、役者、乗り込み、表がかりなどで、随所に油、煎餅、そば切りの見世の店頭図を挿入する。原題簽の角書きに「劇場風俗」とあるように、当時の歌舞伎を取り巻く風俗、実態を様々な角度から照射する。同趣の題材を扱った絵本、絵入り本に勝川春章の安永9年(1780)刊『役者夏の富士』、歌川豊国の享和元年(1801)刊『俳優画図三階興』などがあるが、それらの魁ともいうべきもの。伝本極稀。(鈴木淳)