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図名は裏面墨書による。北蝦夷、すなわちサハリン島の地図。間宮氏実測とあり、測線と見られる朱線が描かれている。東岸は多来加湾、西岸はナツコ以南を描き、その北および東北部分は極端な省略形。経緯線は緯線のみ。緯度1度の間隔はおよそ18cmで、縮尺に換算すると約62万分1。間宮林蔵はサハリン測量当時は天体測量に習熟しておらず、国立公文書館所蔵の上呈図、当館所蔵の高橋景保編「日本図、蝦夷地」では、北端部の緯度がおよそ50度40分と実際より3度以上低く表示されているが、本図では50度線の位置が実際に近く修正されている。こうした点から間宮林蔵の測量記録をもとに、のちの天文方の関与で編集されたと思われるが詳細は未確認。運上所并会所、番屋を記号で示す。蝦夷人の居住状況との関係で「御邦域御定可然」の位置、要害とすべき場所を示す付箋が東西両海岸にある。