著者
Nanjangud Apoorva
出版者
北海道大学 観光学高等研究センター
雑誌
International Journal of Contents Tourism
巻号頁・発行日
no.4, pp.1-11, 2019-02-25

本研究ノートは、ボリウッド映画やその関連産業・商品の影響で成立するツーリズム実践を「ボリウッド・ツーリズム」と呼び、日本を目的地としたボリウッド・ツーリズムの課題と可能性について論じたものである。同時に本研究ノートは、コンテンツツーリズムの文脈からボリウッド・ツーリズムを評価するとともに、ボリウッド・ツーリズム研究が盛んに実施されているアジア地域に着目することで、従来西欧中心で行われてきたフィルムツーリズム研究の領域に、非西欧からの視座を取り入れることを目指している。既往研究においてボリウッドは、世界的な映画産業という視点からその重要性が論じられてきた。しかし、旅行動機形成における現代ヒンディー語映画の役割と、その結果としての観光流動に関する研究は、依然として断片的なままであり、また、コンテンツツーリズムの視座から行われた研究も目下存在していない。そこで本研究では、日本を目的地としたボリウッド・ツーリズムと、ボリウッド映画の特徴である歌による物語形式に特に着目することで、ボリウッド・ツーリズムとコンテンツツーリズムの理論的関連性について論じる。そのうえで、目下、日本を目的地としたボリウッド・ツーリズムが直面する課題と、今後の可能性について考察を行う。