著者
奈良 武司
出版者
医療創生大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

シャーガス病は、寄生原虫クルーズトリパノソーマを病原体とする感染症で、慢性化を特徴とする。申請者らは、レクチンの一種コンカナバリンA(ConA)を含む培地でクルーズトリパノソーマ上鞭毛期型(昆虫型)を培養すると、原虫が嚢子(cyst)に類似した形態となり、内部に多数の娘原虫が形成されることを明らかにした。原虫の核やミトコンドリアなどの細胞内小器官は嚢子壁で形成され、嚢子内腔で個々の原虫が形成された。また、嚢子内に形成された原虫は哺乳類細胞に感染できることが明らかとなった。メタボローム解析の結果、ConAで誘導された嚢子の代謝活性は低下しており、休眠型の性質を持つことが明らかとなった。