- 著者
-
石村 哲代
- 出版者
- 四条畷学園女子短期大学
- 雑誌
- 一般研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 1990
将来の家庭内エネルギ-源として、とりわけ高齢者世帯や高層住宅などでは、安全性やハイカロリ-といった面から、200V電圧の電気エネルギ-の利用が急速に進むことが予測される。既に一般家庭を対象に200V電圧の調理用加熱機器(以下200V機器と略)が市販され始めたが、その実用性についてのデ-タは未だ十分とはいい難い。そこでこれらの新しい電化調理機器について基礎的研究を進め、従来100V電圧の調理機器(以下100V機器と略)や都市ガスコンロ(以下ガスコンロと略)などと比較した場合の有効性や問題点を明らかにすることは極めて重要との考えから本研究を行った。本年度までに明らかになった点は次の通りである。1.ハロゲンヒ-タ-、シ-ズヒ-タ-、電磁調理器などの200V機器の調理機能は従来の100V機器に比べて明らかに有効といえ、中でも電磁調理器は、熱効率、水温上昇速度、食品投入後の水温回復時間などからみて、ガスコンロに匹敵する高温調理機能を備えた極めて有効な調理機器であることが判明した。ハロゲンヒ-タ-、およびシ-ズヒ-タ-については熱効率、水温上昇速度などからみて、経済性、実用性の両面で未だガスコンロの調理機能との開きが大きく、さらに改良の余地があると考える。2.各種200V機器を用いて、従来の100V機器では困難とされていた高温短時間を不可欠とする調理を行い、その加熱調理食品について化学的・物理的成分変化を測定した結果、「青菜を茹でる」など水を熱媒体とする調理では電磁調理器が「炊め物」や「焼肉」などの鉄板焼き調理ではハロゲンヒ-タ-が、ガスコンロに匹敵する有効性を示した。3.省エネルギ-の見地から、200V機器の特性である保温性能を利用した粥炊きを行い、通常の標準的な方法による粥と比較した結果、嗜好的に有意差のない粥が得られ、保温性能の調理への有効利用の可能性を見出すことができた。