著者
山本 喜久
出版者
国立研究開発法人科学技術振興機構
雑誌
源流 (ISSN:13453610)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.2, pp.1-5, 2000 (Released:2000-11-30)
参考文献数
14

極低温に冷やした半導体(GaAs)に作成した二次元電子ガスがフェルミ縮退していることを利用して、電子衝突過程の量子干渉効果とアンチバンチング性の直接観測に成功した。量子干渉効果は電流雑音(ゆらぎ)から観測し、アンチバンチング性については量子ポイントコンタクトから放出される電子の負の強度相関により観測した。
著者
石野 史敏
出版者
国立研究開発法人科学技術振興機構
雑誌
源流 (ISSN:13453610)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.1, pp.5-12, 1999 (Released:1999-10-01)
参考文献数
8

われわれの身体を構成している細胞は、父親と母親から同じ遺伝子のセット(ヒトゲノム)を1つずつ受け継いでいる。しかし、個体発生の過程において、父親由来のゲノムと母親由来のゲノムは異なった役割を果たしている。それは各々の細胞において父親から、または母親から受け継いだ時のみ働く遺伝子の存在に起因している。大変興味深いことに、このような遺伝子は高等脊椎動物では哺乳類だけに存在が確認されている。これは哺乳類だけが子供を母親の体内で育てるという胎生という発生機構を採用していることとも関係があると思われる。上述の遺伝子を「由来した親の性別の記憶が刷り込まれた」という意味でインプリンティング遺伝子と呼び、この特殊な遺伝子発現様式に起因する様々な表現型のことをゲノムインプリンティング現象と呼ぶ。われわれの研究の最終目標はこの現象の裏にある本質的な事柄は何であるかを明らかにすることであり、「インプリンティング遺伝子は胎盤で発現されるように制御された遺伝子群である」というのがわれわれが提唱している新しい仮説である。