著者
山本 喜久
出版者
国立研究開発法人科学技術振興機構
雑誌
源流 (ISSN:13453610)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.2, pp.1-5, 2000 (Released:2000-11-30)
参考文献数
14

極低温に冷やした半導体(GaAs)に作成した二次元電子ガスがフェルミ縮退していることを利用して、電子衝突過程の量子干渉効果とアンチバンチング性の直接観測に成功した。量子干渉効果は電流雑音(ゆらぎ)から観測し、アンチバンチング性については量子ポイントコンタクトから放出される電子の負の強度相関により観測した。
著者
山本 喜久 宇都宮 聖子
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.96-107, 2012-02-05 (Released:2019-10-19)
参考文献数
56

量子井戸にトラップされた励起子とプレーナマイクロ共振器に閉じ込められた光子が強結合を起こして生成される励起子ポラリトンは,その質量がアルカリ原子に比べて約10桁,励起子に比べて約4桁も軽いため,極めて高温・低密度で量子凝縮相を実現できる.一方,励起子ポラリトンは,数ピコ秒から数十ピコ秒という短い寿命を持つため,超流動液体ヘリウムやアルカリ原子ボーズアインシュタイン凝縮体(BEC)が熱平衡下の量子凝縮相を示すのに対し,非平衡開放系での量子凝縮を発現する.本稿では,急速に発展しているこの新しい量子凝縮相の研究をレビューする.特に,同じ非平衡系でありながら巨視的コヒーレンスを実現しているレーザー相転移との違い,2次元系に特有なBerezinskii-Kosterlitz-Thouless(BKT)相転移の実験的証拠,音波的な励起スペクトラム,高次軌道関数での量子凝縮,などに焦点を当てて解説する.
著者
山本 喜久
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.60, no.12, pp.928-934, 2005-12-05 (Released:2008-04-14)
参考文献数
31

本稿では, 物理学と工学の境界領域で量子力学が本質的な役割を演じ, そして成功を収めたいくつかの事例を取り上げる.具体的には, 核磁気共鳴, レーザー, 量子情報, の3つの分野を概観する.この3つの分野に着目したのには2つの理由がある.その第一は, 過去60年にわたって, 時系列的に発展してきたこれら3つの分野の基本概念・原理には驚くほど共通するものが多いことである.第二の理由は, これらの分野で基礎研究から応用へ至る道筋で, 新しい時代を切り開いてきた研究者間のバトンタッチのあり様にも, やはり共通したものがあり興味深いからである.