著者
菱田 一恵 藤田 淳子
出版者
学校法人 順天堂大学医療看護学部
雑誌
医療看護研究 (ISSN:13498630)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.9-18, 2023 (Released:2023-10-26)
参考文献数
12

退院支援看護師が、看取り・医療処置導入以外の事例に対して、訪問看護導入を判断する要因を明らかにすることを目的として、退院支援看護師7名に対し訪問看護の導入を判断した事例の状況と判断の過程に関する半構成的インタビューを行い、質的帰納的に分析した。その結果、看取り・医療処置導入以外の事例において、退院支援看護師が訪問看護導入を判断する要因として、【患者・家族の不安】【医療的視点での介入の必要性】【家族支援の必要性】【将来予測される病状・成長発達・療養上の課題】【疾患や患者・家族の状況に応じたタイミング】【病状変化の早期発見と適切な支援へつなぐ必要性】【患者・家族の関係や生活の把握困難】の7カテゴリーが抽出された。退院支援看護師は、療養者・家族の生活全体をとらえながら訪問看護の必要性を判断し、疾患の特徴をふまえた今後の長期的な予測の中で訪問看護導入の時期やタイミングを見極めていた。今後さらに複数の疾患を持ち療養の場を移行する患者の増加が考えられ、訪問看護導入のタイミングを考慮すべき疾患や疾患ごとの訪問看護導入のタイミングをより明確にしていく必要があることが示唆された。