著者
村上 郁磨
出版者
学校法人久留米大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2011

[目的]本研究は、(1)大学事務職員独自のワークモチベーション尺度を作成し、その尺度を用いて職場のメンタルヘルスとの関係を調査すること、(2)3ヶ月間の運動介入が大学事務職員独自のワークモチベーション(以下WM)及び職場のメンタルヘルスに及ぼす影響を調べることを目的とした。[研究方法]アンケート調査にて個人的属性及び大学事務職員のWMを規定する要因を調査・分析し、大学事務職員独自のWM尺度(自己発信・他者からの評価・職務のやりがい・職業満足感・帰属意識・職場内人間関係:6因子23項目)を作成した。そして、「職場のメンタルヘルス測定尺度」(MHI-5)を独立変数、上記のWM尺度を従属変数として重回帰分析を行った。運動介入は男性事務職員20名を対象とし、歩数計を用いて実際の運動量を測定し、3ヶ月間(週2日:1回あたり速歩30分間)を行った。[研究結果]メンタルヘルス項目の「やりがい・達成感」はWM項目すべてに関係性が認められた。また、「疲労・消耗感」は、他者からの評価、職業満足感、帰属意識に関係性が認められ、さらに「社会関係の回避」は、職務のやりがい、職務満足感、職場内人間関係に関係性が認められた。また、3ヶ月間の運動介入の結果、メンタルヘルス項目の「勤労意欲の減退」、「疲労・消耗感」、「余裕・ゆとりのなさ」が改善し、大学事務職員のWM項目の職務満足感が向上した。これらの結果より、職場のメンタルヘルスが大学事務職員のワークモチベーションを部分的に予測することが明らかとなった。そして運動介入を実施することにより、職場におけるメンタルヘルスが改善され、大学事務職員のワークモチベーションが向上する可能性が示唆された。