- 著者
-
三浦 光哉
- 出版者
- 宮城教育大学教員キャリア研究機構(特別支援教育研究領域)
- 雑誌
- 宮城教育大学特別支援教育総合研究センター研究紀要 = Bulletin of Special Needs Education Research Center, Miyagi University of Education
- 巻号頁・発行日
- no.12, pp.30-37, 2017-06-01
本研究は、小学校入学後において、5 歳年長の時期に「小1プロブレムを防ぐ保育活動プログラム」を適用したA幼稚園出身児が学習面や行動面で不適応が少なくなっていることについて、小学校1 年生担任によるアンケート調査から一般幼稚園出身児と比較しながら検討した。手続きでは、A 幼稚園5 歳児3 クラス計72 人(本研究の対象児46 人)に対して、3 ケ月間にわたって、「小1プロブレムを防ぐ保育活動プログラム」40 題材を適用した。そして、この効果を検証するために、小学校入学後の7 月に、1 年生担任8 人に対して、8 項目( 国語の読み、国語の書き、算数の読み書き、算数の計算、視写、対人関係、聞く、話す)について、4 段階評価(大いにある、多少ある、あまりない、全くない)のアンケー調査を実施した。また、比較するために、保育活動プログラムを受けていない一般幼稚園出身児178 人にも同様のアンケート調査を実施した。その結果、A幼稚園出身児は、8 項目全てにおいて一般幼稚園出身児よりも不適応出現率が少なく、また、平均不適応出現率で約10%少なかった。このことは、「小1プロブレムを防ぐ保育活動プログラム」の適用が、小学校入学後における国語や算数の読み書き計算、聞くことの授業集中、話すことのコミュケーション、友達とのコミュニケーションなどの能力や態度において効果を示したのではないかと推測された。特に、行動面や情緒面、対人関係面で効果が期待できるものとなった。