著者
門脇 啓一 吉田 利弘 伊藤 芳郎
出版者
宮城教育大学教育復興支援センター
雑誌
教育復興支援センター紀要 = Bulletin of Support Center for Revival in Education, Miyagi University of Education (ISSN:21884080)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.49-62, 2014

本稿は,教育復興支援センターの取組,主として支援実践部門 平成25年4月~26年1月の取組を報告する。本センターは,平成23年3月11日の東日本大震災によって甚大な被害を受けた宮城県内の学校教育の復旧・復興――児童生徒の確かな学力の定着・向上,現職教員の各種支援等を期して,同年6月28日に設置された。被災から3年目を迎えた25年度,センター支援実践部門においては人的・物的,二つの「充実」が図られた。人的充実とは,ボランティア協力員を中心とする学生組織が,本格的に機能しはじめたことである。また,物的充実とは,6月29日のセンター棟の竣工である。研究室,会議室等の整備に加え,学生のミーティングルームが設けられた。そこを活動拠点として,各ボランティア団体の活動を担ってきた学生が,それぞれの活動内容,課題等について共通理解を図り,学生提案により大学祭,被災地視察研修,各種研修会が企画・運営された。そうした学生の主体性が,長期休業中の学習支援等のボランティア活動に好影響を与えることにもなり,前年度を上回る充実した支援活動が展開された。支援実践部門を担う教職員としては,支援対象の児童生徒の成長に止まらず,支援する学生の人間的成長を期してきた。それが,以下に示すような学生たちのさまざまな実践により,身近に感じることができたのは望外の喜びであった。今後は各ボランティア活動の学生代表と協働して,その後継者の育成に努めたいと考えている。なお,新しい試みとして仙台市立中野小学校,丸森町教育委員会の学び支援の具体の取組を掲載した。これを参照され,詳述できなかった各学校,各教委の取組も類推していただきたいと考えている。