著者
竹内 和雄
出版者
寝屋川市教育委員会
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2010

○研究目的携帯電話に過度に依存してしまう、所謂「携帯依存症」や「ネットいじめ」の実態を明らかにするとともに、特に、その有効な対応方法、対策方法を見いだすことを目的とした。特に、学校園ですぐに使用できるDVD作成や子ども自身による、ネットいじめ撲滅の取り組み(生徒によるいじめ撲滅劇上演)等、即効性のある取り組みを研究した。○研究方法全国各地の状況の聞き取り調査を実施し、他の都道府県(長野県、東京都、福岡県等)の子ども及び教職員等から情報収集し、トラブルだけでなく、効果的な指導法についても情報交換した。また、市「携帯ネットいじめ対策会議」で中学校教員と対策を検討し、アンケート調査及びピア・サポートによる対応方法について研究した。○研究成果市内アンケートや他府県の聞き取りからフィルタリングの設定が有効であることがわかった。保護者用啓発資料作成し、「フィルタリング・ローラー作戦」を実施し、市内の小中学生のフィルタリング設定率が48.2%から79.2%に上昇するなど、成果があがった。また、調査の結果、小中学生の携帯電話でのトラブルが、ネットいじめや携帯電話依存だけでなく、多岐にわたっていることが判明した。市中学生サミット(市内12中学校の生徒会執行部員で構成)のメンバーで考える機会を持ち、その結果を踏まえて、中学校教員や千葉大学、関西大学等と連携して「チェーンメール」「個人情報」「ソーシャルネットワークサービス」の3つの対策ビデオ教材を作成した。ビデオ教材は、市内の全中学校に配布し、授業や朝礼等で活用しており、広く一般に公開する予定である。中学生自身に携帯電話について、考える機会「ケータイサミット」を実施した。その結果を踏まえて、「ケータイネットいじめ撲滅劇」を作成。上演の様子は関西テレビに取り上げられるなど、注目を集めている。また、劇の様子は、DVDにまとめ、全小中学校に配布している。
著者
竹内 和雄
出版者
寝屋川市教育委員会
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2011

本研究では、小中高等学校において、携帯電話の知識が豊富でない教員でも活用できる教材開発を中心に行った。教材開発にあたり、教材化について教職員、児童生徒、保護者、弁護士等を対象に実態調査(アンケート、インタビュー)を行い、多くの小中高等学校で活用できる教材を開発し汎用性を高めることを目指した。(1)「道徳、特別活動等授業教材」生徒自身が台本を考え出演した「ケータイお助けビデオ」(載せていいの、プロフィール??)を作成した。本作は、小中学生の利用が多いプロフィールサイトの危険について、生徒目線から解説した物である。「寝屋川市ケータイ・ネット問題対策会議」中心に作成したが、小中高等学校の授業、朝礼等で広く、活用されている。(2)「保護者啓発資料作成」保護者へのわかりやすい資料作成を行った。寝屋川市内の全小中学生の保護者に配付しただけでなく、全国各地で利用されている。フィルタリングの必要性、携帯電話依存に陥らないための工夫等をわかりやすく解説している。(3)「DVD教材(ネットいじめ撲滅劇)」寝屋川市中学生サミットで、生徒の意見でネットいじめ撲滅劇を作成して,編集してDVD化した。市内の中学生から、ネットいじめについての実例を募集し、生徒自身でストーリーを考えた。劇は、日本ピア・サポート学会研究大会(奈良教育大学)で上演し、全国の教職員、研究者対象に上演したが、好評であった。以上のように、小中高校生の携帯電話使用についての授業や保護者啓発に活用できる様々な資料を作成することができた。研究成果は、一部ネット上で全国に公開しているので、調査協力校等だけでなく、広く活用されている。特に「ネットいじめ撲滅劇」については、文部科学時報に取り上げられたり、文部科学省フォーラムで取り組み紹介を筆者自身がしたりするなど、反響が大きかった。
著者
竹内 和雄
出版者
寝屋川市教育委員会
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2009

○研究目的携帯電話に過度に依存している子ども(以下「携帯依存症」)の心的特性を調査研究し、さらに「携帯依存症」への有効な対応方法・対策を考えることを目的とした。○研究方法月1回中学校教員等と「携帯ネットいじめ対策会議」で情報交換した。トラブルだけでなく、効果的な指導法も情報交換した。また、他の都道府県(長野県、東京都、福岡県等)の子ども及び教員から情報収集の機会を持った。予想以上に現場教員が状況把握をできていないことが明らかになったため、調査対象を弁護士に加えた。○研究成果5,000名規模のアンケート分析から「携帯依存症」の特性がわかった。日に30通以上メールする子どもを他と比べると、「睡眠時間が少ない」「親子の会話が少ない」「勉強に自信がない」「部活に参加しない」等がわかった(すべて0.1%水準で有意)。また、大阪を含む7都道府県で、子ども、教員及び弁護士へのインタビュー調査から「携帯依存症」の多くが「即レク(すぐに返信すること)」が、友達関係を維持するために必要だと話し、布団の中にも携帯電話を持ち込み、就寝後のメールにも対応していることがわかった。また、「携帯依存症」が有意に多く出会い系サイト等の犯罪サイトにアクセスしていることがわかった。「さびしい」「自分のことをわかってほしい」と強く思っており、その逃げ場に出会い系サイト等を利用していることがわかった。以上から、すべての大人の協力が必要だとわかった。特に子どもが安心できる居場所をどう作るかが、携帯電話対策の鍵であることがわかった。そのための授業づくりが必要だが、危険への対応方法等にとどまっているので、今後の課題である。また、効果的なのは、子ども同士の対応だとわかった。寝屋川市で全中学校生徒会執行部からなる「中学生サミット」がネットいじめのない学校づくりのために、いじめ撲滅劇を作成し、自分の問題として考え始めたことは意義深い。