- 著者
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佐藤 幹哉
- 出版者
- 川崎市青少年科学館
- 雑誌
- 奨励研究
- 巻号頁・発行日
- 2014-04-01
ほうおう座流星群は、過去1956年に一度だけ大出現を記録した流星群である。研究代表者らは、ダスト・トレイルモデルでこの出現を解明し、そして2014年12月に再度出現する可能性を見出していた。本研究の目的は、2014年に予報通りの出現があるかどうかを観測すること、またその出現状況から、ダストが放出された20世紀初頭における母天体のブランペイン彗星(289P/Blanpain)の彗星活動度を推測することである。流星群は、2014年12月2日0時(世界時)の出現ピークが予測されたため、この観測条件と治安や気象条件などを考慮し、スペインのラ・パルマ島で観測することとした。観測方法は、流星群の活動度の測定のために、世界的な標準方法での眼視計数観測と、高感度ビデオ撮像による流星数観測の2種類を実施した。悪天候により島内南部に移動したため、極大時刻を過ぎてからの短時間の観測となったが、ほうおう座流星群の検出に成功した。眼視観測による流星数は、最大で12月2日0時45分~1時15分に6個を記録した。これは、ZHR(天頂修正1時間流星数)で31.4±11.9の規模であった。一方でビデオでは流星を捉えることができなかった。これは写野範囲が眼視観測より若干狭いこと、眼視観測よりも明るい流星までしか撮像できないこと、予定通りの観測継続時間を確保できなかったことが原因だと考えられた。眼視観測による出現規模から、ダストが放出された20世紀初頭の母天体の彗星活動度は、発見当初の1819年に対して約24.4%に減少していたことが推測された。これは、標準等級(H10)に換算すると、母天体が約1.6等級減光していたことに相当する。母天体は1820年から2003年まで見失われていたが、本研究の結果から、20世紀初頭の年代の母天体が、徐々に彗星活動を低下させていたことが推測された。観測結果は、研究代表者が勤務する川崎市青少年科学館にて報告会(2015年1月10日)を実施し、市民に速報した。また研究成果については、日本天文学会春季年会(2015年3月18日)にて発表した。なお、今回のほうおう座流星群については、ブラジル、アメリカ、カナダなど世界規模で検出の観測が行われたため、それぞれの成果を共有した上で論文に投稿する予定である。