著者
下村 一徳
出版者
市立池田病院
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2009

近年医療用注射剤の用法において抗悪性腫瘍剤のみならず、抗悪性腫瘍剤以外の注射剤においても週1回投与や3~4週間隔投与など日数単位での注射投与間隔が必要な注射剤が発売されている。また、血液検査値(赤血球数、白血球数、血小板数)によって抗悪性腫瘍剤は投与中止、延期、投与量の減量など投与をコントロールされているが、抗悪性腫瘍剤以外の注射剤においても血液検査値によって投与コントロールされなければならない。本研究の目的は抗悪性腫瘍剤以外の注射剤の投与間隔や血液検査値による投与基準を把握し、外来患者に対して注射剤投与時に投与間隔や血液検査値などの投与基準を満たしているかを新バーコード(GS1-Databar)を用いて監査する注射処方量監査システム構築である。まず、当院採用注射剤505品目における医薬品添付文書を調査したところ、用法に月単位(4週毎以上)での投与間隔が記載されていた薬品は20品目あり、隔日~1ヶ月未満の投与間隔が記載されていた薬品は112品目であった。また、抗悪性腫瘍剤(抗悪性腫瘍剤との併用療法に用いる注射剤を含む)を除くと投与間隔が記載されている注射剤は53品目であった。これらの注射剤のうち当院外来患者に使用頻度の高い週1回投与のペグイントロン注について注射剤の新バーコードと患者IDバーコードをバーコードリーダーで読み取ることにより投与間隔、血液検査値による投与基準を満たしているかを監査できるシステムを構築し、調査を行った。2010年3月1日~3月31日の1ヶ月間の調査では投与患者数34名、延べ136回の注射回数において、投与間隔7日未満の件数は19件あり、血液検査値が投与減量基準を下回っていた件数は延べ25件であった。新バーコードを利用するシステムを構築することにより、簡便に注射剤の適正使用を監査・管理し、医療過誤を防止することが可能であると考える。