- 著者
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鶴田 一郎
- 出版者
- 広島国際大学 教職教室
- 雑誌
- 広島国際大学 教職教室 教育論叢 (ISSN:18849482)
- 巻号頁・発行日
- no.10, pp.35-44, 2018-12-20
要旨:本研究では、地下鉄サリン事件被害者の心理をPTSD反応の視点から検討した。その結果、まずPTSD反応は「恐怖」「再体験」「過覚醒」「麻痺」「回避」「罪責感」の六種類に分類できることがわかった。次にPTSD反応(「外傷後ストレス」「トラウマ反応」「喪失反応」)の分析と考察を行った。まず「外傷後ストレス」である「恐怖」を中核とする外傷的体験があったことを前提とする。次に「再体験」で出来事の苦痛に満ちた再現があり、それから「麻痺・回避」し、反応全般を低下させ、その逆に「過覚醒」で過剰に覚醒させる、以上を「トラウマ反応」の三大症状と呼ぶ。更に経過の中で起きてくる「罪責感」は「喪失反応」に含まれる。以上に加えて、PTSD反応を長期化させないために「自責感情」「孤立無援感」「無力感」「不信感」へのケアが不可欠である点を指摘した。