- 著者
-
戸井 和彦
- 出版者
- 愛媛県新居浜市立角野小学校
- 雑誌
- 奨励研究
- 巻号頁・発行日
- 2012
「コンパニオンプランツ」とは、異なる種類の植物を植えることで、相互に成長を促進し合える作物種の組み合わせのことである。農薬や肥料を削減する取り組みとしても、農業において大変注目されている技術である。特に家庭菜園など小規模栽培において積極的に導入されており、学校教育の場においても導入可能な方法である。しかしながらWebサイト等で学校でのコンパニオンプランツの取組を調べてみたが、ほとんど例は見つからなかった。学校花壇は、ヒマワリやアサガオなどほとんど単一植物の栽培である。コンパニオンプランツは、農家や家庭菜園では浸透しているが、学校では全然行われていない。理科専門の教育者でさえ初めて知ったという人もいた。本研究では、農業現場の技術を取り入れたり、環境に優しい栽培方法を実践したりしていくという意味でぜひ、学校教育の場に導入したいと考え、その基盤作りとしてコンパニオンプランツを実施することことにした。それぞれ、単独で植えた場合と、コンパニオンプランツをした場合とを比較した。どのような結果が得られるか子どもたちと予想し、楽しみと意欲を持って栽培させることができると考えられた。ここでは、子どもたちに「コンパニオンプランツ」という栽培方法について教え、実際に単一栽培をしたケースと対比させることで、その有効性に着目させたいと考えた。対象は小学校の4年生の児童とした。このような体験をもとに、作物栽培のあり方により興味、関心を持たせ、生物多様性を含めた作物相互の関連性に着目させることを意図した。主な例である。(1)ヒマワリとトウモロコシ(トウモロコシによる風よけ効果)(2)ヒマワリとダイズ(大豆による窒素固定(養分供給))(3)トマトとトウモロコシ(空間の有効利用)(4)アサガオとトウモロコシ(空間の有効利用)子どもたちは実験にいる作物の成長の違いに驚いていた。一人一人の記録を見てみると、よく分かった。実際に家庭でも試してみた子もいた。該当年度末に実施児童に対してアンケートを行った。結果は次の通りである。コンパニオンプランツで作物を育ててみたいですか。はい23人…よく成長する農薬や肥料が少ない面白そうだおいしいのが作れる家族に自慢したいいいえ4人・…時間がない収穫できないこともある家で場所がない分からない2人…あまり興味がない(1)ほとんどの児童は「コンパニオンプランツ」について、養分を補いあう場合などお互いの成長がよくなることに気づいたと言える。(2)本校が学級編成を1年ごとに行っているため、コンパニオンプランツについて気づかせ、教え、実際にその良さを実験によって確かめさせるのは期間が限定されており難しい。(3)教師が別に栽培をするなどして、ある程度、事前に並行して栽培をするなどし、肝心な所を観察させるなどの工夫やスキルが必要である。(4)小学校の栽培学習にコンパニオンプランツという農学的・生態学的な視点を導入することにより、マンネリ化している栽培活動を活性化していけるのではないかと考えられる。