著者
竹越 美奈子
出版者
愛知東邦大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究の目的は、19世紀の西洋人資料、20世紀前半の日本資料、20世紀後半の香港資料を用いて、近代粤語を通時的に研究することである。その結果、19世紀粤語は口語の中に複数の文体が存在していたことがわかった。これは現在でも漢語(ここでは広く方言も含んだ意味での中国語を指す)に特徴的な現象であり、先行研究では、明清時代の口語にも書面語に近い優雅なスタイルと地方の方言をそのまま話す粗野なスタイル(場合によってはさらに両者の中間的なスタイル)が存在していたと報告されている。 本研究により、19世紀の広東でも口語の中にいくつかのスタイルがあり、同じ人が場に応じて使い分けていたということがわかった。