著者
川原 秀夫
出版者
明和学園短期大学
雑誌
明和学園短期大学紀要 (ISSN:13488791)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.A1-A65, 2003-12-01
著者
志田 俊子 山形 みさ江 田中 明子
出版者
明和学園短期大学
雑誌
明和学園短期大学紀要 (ISSN:13488791)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.169-179, 2005-12-01

「オキリコミ」について継続した5年間のアンケート調査(966名)と実測調査(81例)により次の様なことが把握できた。(1)本来「オキリコミ」は忙しく農業を終えた主婦が畑や台所にある身近な野菜とその土地で取れた地粉で麺を打って、茄でずにそのまま煮込んだ料理であり、特に短時間に大量に作れ、冬の大家族の胃袋を満たしてくれ、栄養を補給することの出来た郷土料理であった。空っ風の吹く寒い冬には「心と身体の温まる」最高の料理で大家族のなかで大切に受け継がれたきたものである。(2)アンケート結果から・群馬の「オキリコミ」のイメージは「温かい料理」が35.4%、「母親の味」19.3%、「冬」14.2%の順で「群馬の郷土食」は8.4%で郷土食としてのイメージは薄かった。・「オキリコミ」を「郷土食として伝えたい」と思っている伝承希望者は中高年層で90%、若年層で60%いたが、実際には、44%が実母から受け継いでもらっていないことがわかった。このことを踏まえて、先ず地域や学校教育で取り組んでいくことから始めたいが実践にむけては、ただ伝えるのではなく行動を伴った伝え方が必要である。(3)実測結果から・「オキリコミ」の栄養価はビタミンAを除いて全て充足率を下回っていた。塩分は一日の許容量の50%にあたり「オキリコミ」一食で摂取しており、過剰傾向にある。また「オキリコミ」の食べ方は漬け物や煮物との組み合わせが多いことでも塩分の摂りすぎに繋がるため副菜についても工夫をする必要がある。・脂質、カルシウム、鉄、ビタミンB_2、ビタミンCは低率であったので食事をするときにはこれらの栄養素を供給出来る食品、または料理の組み合わせを考える必要がある。(4)全国各地で地産地消運動や食教育の推進の活動が行われており、各地域で受け継がれてきた郷土の食の文化を掘り起こし、次世代にどのようにして伝えていくかが今後の課題といえる。