著者
早田 和弥
出版者
札幌学院大学総合研究所 情報科学研究部会
雑誌
情報科学 (ISSN:02887630)
巻号頁・発行日
no.33, pp.1-26, 2013

統計的手法に拠り,標記日本語語彙データに於ける音韻パターンの解析を行った結果を示す.データ規模は,苗字と名前に対して共に三千,地名に対して約二千である.名前に就いては性別毎に解析し,地名に就いては全市町村並びに郡を対象としている.更に比較の為,日本酒銘柄及び枕詞に対しても同様な分析を行っている.単語中の母音配置を解析した結果,現代地名に就いてはこれが確率法則に従っていると判定されたが,苗字と名前及び古代郡名に就いては各々特徴的な分布を示した.これらのうち苗字と古代郡名に於いては,日本語基礎語彙の音韻パターンと基本的に一致することを確認したが,名前に於いては男女共これと著しく異なる極めて特異なパターンを生じた.即ち,男子名,女子名共に近接する母音間で同音回避が顕著であり,特に男子名に於いてこの傾向が強いことが分かった.研究ノート