著者
早田 和弥
出版者
札幌学院大学総合研究所
雑誌
札幌学院大学総合研究所紀要 = Proceedings of the Research institute of Sapporo Gakuin University (ISSN:21884897)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.31-40, 2015-03-31

統計的手法に拠り,標記短歌の音韻解析を行った結果を示す.解析対象は,本邦初の歌集である万葉集所収短歌(全4183首),並びに古今和歌集から始まり新続古今和歌集で完結した二十一代勅撰和歌集所収の短歌(全33692首)であり,延べ37875首に及ぶ.本研究の主たる目的は,先に提示された俳句に対する解析結果との比較を通して,短歌に固有な音韻規則の有無を明らかにすることにある.大規模統計解析に拠り,俳句と共通の音韻規則が短歌に対しても確認された.即ち,短歌一首を構成する任意の句尾間に於いて,同音回避現象が起こっていることが証明された.一方,句頭部の母音間では俳句とは異なる結果が得られた.俳句に於いては,句尾の場合とは対照的に,句頭音間には有意な連関は見出され無かったが,短歌に対しては句頭音の間にも同音回避が認められた.本解析結果は,俳諧の連歌に於ける禁制の一つである去り嫌い或いは嫌物,更には伝統的フランス詩法に於ける不調和音回避の法則を髣髴させる.
著者
早田 和弥
出版者
札幌学院大学
雑誌
社会情報 (ISSN:0917673X)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.197-200, 1998-03
被引用文献数
1

学園創立50周年記念号
著者
早田 和弥
出版者
札幌学院大学総合研究所
雑誌
札幌学院大学総合研究所紀要 = Proceedings of the Research Institute of Sapporo Gakuin University (ISSN:21884897)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.31-40, 2015-03

統計的手法に拠り,標記短歌の音韻解析を行った結果を示す.解析対象は,本邦初の歌集である万葉集所収短歌(全4183首),並びに古今和歌集から始まり新続古今和歌集で完結した二十一代勅撰和歌集所収の短歌(全33692首)であり,延べ37875首に及ぶ.本研究の主たる目的は,先に提示された俳句に対する解析結果との比較を通して,短歌に固有な音韻規則の有無を明らかにすることにある.大規模統計解析に拠り,俳句と共通の音韻規則が短歌に対しても確認された.即ち,短歌一首を構成する任意の句尾間に於いて,同音回避現象が起こっていることが証明された.一方,句頭部の母音間では俳句とは異なる結果が得られた.俳句に於いては,句尾の場合とは対照的に,句頭音間には有意な連関は見出され無かったが,短歌に対しては句頭音の間にも同音回避が認められた.本解析結果は,俳諧の連歌に於ける禁制の一つである去り嫌い或いは嫌物,更には伝統的フランス詩法に於ける不調和音回避の法則を髣髴させる.Phonological patterns of tankas in Collection of Ten Thousand Leaves (composed of 4183 poems)as well as in Collection of Ancient and Modern Japanese Poetry to New More Collection of Ancient and Modern Japanese Poetry (composed of 33692 poems) are analyzed statistically, where the sum of the poems amounts to 37875. The main purpose of this study is,in comparison with previous results on haikus, to explore the possibility of a phonological rule inherent in tankas. Indeed,a large-scale statistical analysis has demonstrated the rule in common with that of haikus. Namely,it has been verified that the phenomenon of avoided rhyming occurs between feet of any lines. For the initial vowels on lines,however,one has obtained the results different from those of haikus. Although for haikus there was no significant correlation among vowels on the beginnings of lines,for tankas the avoidance of the identical sounds has been seen even there as well. The present results might remind readers of sarikirai or kiraimono,both of which were imposed as a forbidden rule in rengas, as well as of the avoidance law of inharmonic sounds in the context of the traditional French poetry.言語学Linguistic
著者
早田 和弥 小柴 正則
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:09151893)
巻号頁・発行日
vol.J73-C1, no.12, pp.771-779, 1990-12-25

非線形シュレディンガー方程式(NLSE)は,数学,物理学,工学,生物学をはじめとする多くの学問分野において出現する偏微分方程式の一つであり,応用範囲が非常に広い.本論文では,変形あるいは摂動を伴うNLSE(一般化されたNLSE)の解法として,径路積分法(PIM)に着目し,その基本となる概念,定式化,ならびに実際の数値計算手順について述べている.PIMは,R. P. Feynmanにより導入されたLagrange形式による非相対論的量子力学の定式化の方法である.本論文で最終的に得られる式は標準的なフーリエ変換の形をしているため,高速フーリエ変換(FFT)の適用が可能となり,計算効率の飛躍的向上が達成されている.ここで注目すべきことは,本手法では単位伝搬区間当り1回のフーリエ演算を実行すればよいということである.ここでは,一般化されたNLSEとして,摂動を受けた結合形非線形シュレディンガー方程式を考え,具体的な適用例として光ソリトンに対する数値計算結果を示している.
著者
早田 和弥
出版者
札幌学院大学総合研究所 情報科学研究部会
雑誌
情報科学 (ISSN:02887630)
巻号頁・発行日
no.33, pp.1-26, 2013

統計的手法に拠り,標記日本語語彙データに於ける音韻パターンの解析を行った結果を示す.データ規模は,苗字と名前に対して共に三千,地名に対して約二千である.名前に就いては性別毎に解析し,地名に就いては全市町村並びに郡を対象としている.更に比較の為,日本酒銘柄及び枕詞に対しても同様な分析を行っている.単語中の母音配置を解析した結果,現代地名に就いてはこれが確率法則に従っていると判定されたが,苗字と名前及び古代郡名に就いては各々特徴的な分布を示した.これらのうち苗字と古代郡名に於いては,日本語基礎語彙の音韻パターンと基本的に一致することを確認したが,名前に於いては男女共これと著しく異なる極めて特異なパターンを生じた.即ち,男子名,女子名共に近接する母音間で同音回避が顕著であり,特に男子名に於いてこの傾向が強いことが分かった.研究ノート