著者
石井 龍太
出版者
東京大学考古学研究室
雑誌
東京大学考古学研究室研究紀要 (ISSN:02873850)
巻号頁・発行日
no.20, pp.109-148, 2006-03-31

琉球王国が主に近世期に生産し消費した琉球近世瓦,その瓦当紋様を集成,分類するのが本稿の目的である。琉球近世瓦については既に幾つか論考があるが,現時点までに蓄積された資料からして呼称や分類に関し相応しからぬ点がある。先ず先学の諸問題を整理し,呼称や分類について一定の方式を提案したい。琉球近世瓦の瓦当紋様において,その大半のモチーフは牡丹である。そしてこれら牡丹紋様は大まかに五つに分けることが出来る。各々の系統毎に子房,花弁,さらに軒平瓦に置いては左右に大きく表現される葉を主要素としてその変遷を追い,型式学的分類を試みた。