著者
山田 寛之
出版者
東京福祉大学 教務課(教職課程支援室)
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2015

本研究では、高等教育のアドミッション・カリキュラム・ディプロマ・アセスメントの視点をふまえ、イギリスの1992年継続高等教育法により「ポリテクニク」から大学に昇格した、いわゆる「新大学」を対象とし、イギリス中部の新大学の事例研究によって、職業能力形成を重視する高等教育課程の質保証の取り組みを具体的に明らかにすることを目的とした。本研究の成果は、現状分析を中心とし、次の通りであった。第1に、全学共通の正課外教育として11月から3月の期間に実施されている「就業力支援講座」について、H27年度ガイドブック、オンライン教材、受講生募集用資料の分析により、その教育方法(対面授業、オンライン学習)、教育内容(ガイダンス、キャリア計画、自己分析、職業体験、各種スキル形成、省察、履歴書作成、模擬面接)、評価方法(ポートフォリオ : 作業日程を設定し、対面・オンラインにより指導)、課題が明らかになった。第2に、社会学/犯罪学専攻の学士課程の2年次必修科目で、同専攻の就業力養成科目に位置付けられている「サービスラーニング」について、H27年度ガイドブックと教材の分析、担当教員・学生へのインタビューにより、その地域連携による運営、教育方法、教育内容、評価方法、課題が明らかになった。第3に、「学生参加による教育改善」について、担当教員と代表学生の参加のもとで実施される、学部単位の取組み(10月から4月の期間、月1回程度の会合を実施)および、コース単位の取組み(年3回、会合を実施)を、それぞれ社会科学部と社会学コース(修士課程)を事例とし、そのH27年度議事録の分析により、教育改善への学生参加の特徴と課題が明らかになった。第4に、「職業分野の学士課程における成人学習者の学習経験」について、社会福祉(health and social care)専攻の成人学生へのインタビューの分析により、職業分野の学士課程の特徴、成人学習の文脈における高等教育の質が明らかになった。