- 著者
-
宇野 正人
小坂 勝昭
斗息 正一
宮島 千秋
斗鬼 正一
- 出版者
- 江戸川女子短期大学
- 雑誌
- 一般研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 1991
○現地調査における進捗状況。(1)本研究のため、調査地域に関する文献および資料のリストを作成し、加えて、できるかぎり文献収集をおこなっていたが、本年度もその拡充をおこなった。(2)ゆえに、収集した文献に関して、その文献リストおよびその内容のコンピュータによるデータベースをも拡充した。(3)研究代表者や分担者は、現地で面接調査をおこない、資料収集につとめ、より資料の精度化をはかった。具体的には「隠岐アイランドトライアル」の開催実行の状況、島内外を結ぼうとする試みである「ふるさとNETWORKJOURNAL隠岐国」編集発行の様子、各地区の神社の祭および盆行事の見学などである。○新たに得られた知見。初年度は、文字を中心にした文献・資料の収集に力点を置いた。それゆえに、われわれの知見は従来の研究の範囲を越えていないのが現状であった。2年度においては、現地での面接調査をおこなった。現地の方々の非常な協力により、かなり精度の高い資料を得ることができた。3年度は、彼ら、若者が具体的に活動している行事および各地域における伝統的行事などの現状をみた。その中で、若者を中心にした行事および事業と伝統的な行事をつなぐ「キー」となる人物の存在があった。彼は神社の神職であるものの、トライアルの実行委員会事務局長、のちに大会実行委員長となっている。ゆえに、宗教的コミットメントは個人のレベルであるが、その役職、発言力にはみるものがあり、到底無関係とはいえない。彼の神社では、その立地条件も加味されて、祭への参加が減少の一途をたどっていた。ところが、トライアル開催以降、それまで神社の祭典に参列がなかった青年たちの参列があった。また、ふるさとネットワーク事業に関しても、青年たちを中心に、島の伝統的祭や行事への再認識もあった。このように、経済的側面が強調される場合が多い地域活性化の問題も、宗教の問題を加味すると、少し変わった観点からみることもできよう。