著者
村上 千鶴子 ムラカミ チズコ Chizuko Murakami
出版者
浦和大学総合福祉学部
雑誌
総合福祉
巻号頁・発行日
vol.3, pp.107-115, 2006-03

補完・代替医療としてのホメオパシーについて概観し、その日本的展開の可能性について論じる。はじめに、ホメオパシーとはどういうものかについて論じ、次に、evidence based medicineとしてのホメオパシーの位置付け、narrative based medicineとしてのホメオパシーの位置付けと特徴について論じた上で、ホメオパシーの日本的展開の可能性を、以下の項目に分けて論じた。1.漢方薬との共通点と相違点 2.漢方薬のレメディ化について 3.レメディの日本製原材料について 4.複雑なレメディ像とその例 5.風土と医療。その後、2例の事例提示を簡単に行った。結果として、全人的アプローチを要し、対人知覚に優れた国民性をもつ、植生の豊かな日本におけるホメオパシーが、臨床的可能性を大いにもつことが示唆された。また、我々の心身のメカニズムを知る上で、用量依存とは異なった次元の身体機能の説明概念である[波動医学]の洗練が期待され、それによってホメオパシーの治療効果の論理的説明が可能になることが示唆された。