著者
友田 明美
出版者
特定非営利活動法人和歌山子どもの虐待防止協会
雑誌
ビッグ愛りいぶる会議室A
巻号頁・発行日
pp.1-9, 2011-06-19

私は1987小児発達学講座に入局し、すぐに鹿児島市立病院に研修医として赴任しました。救命救急センターで働いていたある晩、3歳の男の子が瀕死の状態で運ばれてきました。親からの虐待を受けて脳内出血を起こしており、身体には火傷の痕がたくさんありました。3日間集中治療室で不眠不休で頑張ったのですが亡くなってしまいました。今でもあの子が助かってくれていたら、と思います。その子との出会いは非常にインパクトの強いものでした。その後、熊本市民病院の新生児医療センター、北九州市立総合療育センターを経て熊本大学に戻り小児神経学を勉強してきましたが、2003年に思い切って二人の子どもを連れてボストンのハーバード大学に留学し、子ども虐待ストレスが脳へおよぼす影響を研究しました。研究はその数年間では終わらず、ライフワークになりました。 虐待は死に至らなくても深刻な影響、後遺症を子どもに残します。脳に変化が起きてしまうという点からも、やはり虐待を防止しなければなりません。