著者
平山 東子
出版者
独立行政法人国立美術館
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、紀元前6世紀前半の初期アッティカ黒像式陶器の展開を様式、図像、技法、器形、出土分布などから多角的に跡づけ、その形成過程と古代地中海世界における社会的機能をさぐることを目的としている。そのケーススタディーとして、初期アッティカ黒像式陶器を代表的する陶画家の一人である逸名の画家「KXの画家(KX Painter)」を採り上げ、関連資料の収集と調査を実施、「KXの画家」とその周辺作品の図像と技法、装飾方法、器種、出土状況などに関する多くの知見を得ることができた。採取したデータを分析し、当該作家の個々の作品の比較や、同時代および後代のアッティカ陶器および周辺地域の陶器との比較、影響関係の考察などを行った。これらの作業と考察を通じて、「KXの画家」とその工房の作品を明確化し、「KXの画家」の特徴とその背景、周辺作家との影響関係、アッティカ陶器の形成期における当該作家の意義が明らかとなる。