著者
名嶋 義直 Najima Yoshinao
出版者
琉球大学グローバル教育支援機構国際教育センター
雑誌
琉球大学国際教育センター紀要 (ISSN:2432728X)
巻号頁・発行日
no.1, pp.15-38, 2017-03

日本語教育は,「他者と共に生きる人」の育成を目指す民主的シティズンシップ教育にいかなる貢献をすることができるだろうか。民主的シティズンシップ教育を視野に入れた日本語教育が可能かどうかに焦点を当て,政治的な内容のテクストを使ってケーススタディを行った。宜野湾市長選をめぐる新聞記事を批判的談話研究の姿勢で分析したところ,字義的な表面的意味を理解するだけでは見えてこない特徴を明らかにすることができた。分析や考察において中立性を保つことも可能であった。教室活動として行えば,批判的な読解力・批判的な思考力などが育成されるであろう。留学生と日本人学生とが共習する授業であればお互いの読みを共有し,共に考え議論することで相乗効果も見込める。それは「他者と共に生きること」を目指すために必要な調整能力,政治能力を伸ばすことにつながる。批判的談話研究の視点を取り入れた活動は民主的シティズンシップ教育に貢献できる。日本語教育にも取り入れるべきである。