著者
野山 広 岩槻 知也 石黒 圭 藤田 美佳 石川 慎一郎 横山 詔一 前田 忠彦 名嶋 義直 大安 喜一 石井 恵理子 佐藤 郡衛
出版者
大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究では、現在の社会状況や多様な言語・文化背景を持った日本語使用者が共存・共生する時代に応じた(約70年ぶりの)日本語リテラシー調査(主に読み書きの力に関する調査)の実施に向けて、調査方法の開発を目指す。そのために、以下の1)~3)の実態調査(国内外)、コーパス構築、学際的な観点(基礎教育保障学、日本語教育学、生涯学習論、統計科学、異文化間教育などの多様な分野)からの分析・検討、国際シンポジウム等を実施するとともに、調査の在り方(方向性)や姿勢の追求(追究)、調査方法の開発、試行調査を行う。1)日本語使用の実態調査2)コーパス構築とデータ分析3)調査方法の開発
著者
名嶋 義直
出版者
社会言語科学会
雑誌
社会言語科学 (ISSN:13443909)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.5-20, 2020

<p>グローバル化という世界的な変化の流れを考えれば,日本社会の目指す方向は「多様性に寛容な,ゆるやかな結束性を持つ社会」であろう.そこでの「新しい学習・教育」を考えた時,言語研究者には何ができるだろうか.本稿ではドイツや欧州評議会で展開されている「民主的シティズンシップ教育」に「新しい学習・教育」としての可能性を見出す.その上で,それをただ模倣するのではなくローカライズすることが重要であり,それを行えば,民主的シティズンシップ教育はさまざまな場面や手法で実践が可能であることを述べる.そして,多様な他者と「対話」を通して主体的に関わる活動の例を挙げ,「民主的シティズンシップ教育」が有する「新しい学習・教育」としての可能性を論じる.</p>
著者
名嶋 義直 Najima Yoshinao
出版者
琉球大学グローバル教育支援機構国際教育センター
雑誌
琉球大学国際教育センター紀要 (ISSN:2432728X)
巻号頁・発行日
no.1, pp.15-38, 2017-03

日本語教育は,「他者と共に生きる人」の育成を目指す民主的シティズンシップ教育にいかなる貢献をすることができるだろうか。民主的シティズンシップ教育を視野に入れた日本語教育が可能かどうかに焦点を当て,政治的な内容のテクストを使ってケーススタディを行った。宜野湾市長選をめぐる新聞記事を批判的談話研究の姿勢で分析したところ,字義的な表面的意味を理解するだけでは見えてこない特徴を明らかにすることができた。分析や考察において中立性を保つことも可能であった。教室活動として行えば,批判的な読解力・批判的な思考力などが育成されるであろう。留学生と日本人学生とが共習する授業であればお互いの読みを共有し,共に考え議論することで相乗効果も見込める。それは「他者と共に生きること」を目指すために必要な調整能力,政治能力を伸ばすことにつながる。批判的談話研究の視点を取り入れた活動は民主的シティズンシップ教育に貢献できる。日本語教育にも取り入れるべきである。
著者
名嶋 義直
出版者
東北大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

日本語学習者がノダ文をどのような点に着目してメタ的に理解しているかを明らかにするため,韓国人学習者・中国人学習者に対し質問紙調査を実施した。調査結果を分析したところ,双方の学習者に共通の特徴として「ノダと文脈との関連」を充分に理解していない点,語用論的な理解の欠如という点が明らかになった。両学習者群を対照してみると,韓国人学習者の方が語用論的な理解が相対的に強く,中国人学習者は意味論的・構文論的理解が強いことが明らかになった。このことは学習者に応じてノダ文の教え方を考慮する必要があることを意味する。
著者
小林 ミナ 副田 恵理子 名嶋 義直 野田 尚史 松崎 寛 桑原 陽子 佐々木 良造 三輪 譲二 奥野 由紀子 丹羽 順子 松岡 洋子 桑原 陽子
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009-04-01

本研究では,次のような独創性を持つ教材(レッスン群)を作成した。(1)「聞く」「話す」「読む」「書く」で独立している。(2)インターネット上で公開され,文法解説や指示が多言語対応になっているので独習が可能である。研究期間の5年間では,教材作成者がコンテンツを入力したり変更したりするための「管理サイト」,および,日本語学習者が利用する「利用サイト」を開発,試用し,仕様と稼働状況について確認した。それと並行して,日本語レッスン完成版を翻訳し,「中国語簡体字」「中国語繁体字」「韓国語」「英語」の各言語版を作成するとともに,日本語教師が参照するための「日本語」版を作成した。